「俺達の○○」 浦和レッズサポーターから見た東京五輪
いよいよ東京オリンピックが開幕する。
開会式は明後日なのに気が早いな、と思う人もいるかもしれない。
しかし、僕が好きなサッカーという競技は、開会式に先立って始まる。
日本代表の初戦は、男子は明日(7月22日)、女子は今日(7月21日)である。
今回のオリンピックは、競技面以外での紆余曲折が激しく、正直、気持ちを盛り上げにくいところもある。
それでも、吉田麻也選手が訴えたように、出場するアスリート達は、「毎日命かけて、人生かけて戦って」、五輪という檜舞台に立つ。
その中には、僕らファン・サポーターが日頃から見ている、浦和レッズの選手達もいる。
応援しないわけにはいかない。
「俺達の○○」
五輪代表には、浦和レッズから7名の選手が名を連ねた。以前所属していた選手やレンタル中の選手も含めると、実に11名にのぼる。一大勢力と言っても過言ではない。
まず、男子の日本代表に4名。24歳以下(U-24)のチームだが、元々この世代はDF橋岡大樹(シントトロイデン、浦和からレンタル中)だけだった。しかし、パリ五輪世代のGK鈴木彩艶が直前に滑り込み、またオーバーエイジ枠でMF遠藤航(VfBシュトゥットガルト、2016-18年に浦和に在籍)とDF酒井宏樹が選ばれた。
酒井選手は、オーバーエイジ候補に上がったときはまだオリンピック・マルセイユに所属していたが、6月10日に電撃的な移籍が発表された。まだ浦和レッズではプレーしていないし、橋岡選手とポジションがかぶるのは悩ましいけれども、そもそも五輪がなければ浦和に来てくれていなかったかもしれないので、東京五輪にも酒井選手にも感謝している。
出典:日本サッカー協会
次いで、女子の日本代表には6名が選出された。こちらは年齢制限のないフル代表、いわゆる、なでしこジャパンである。不動のキャプテンDF熊谷紗希(バイエルン・ミュンヘン、2009-11年に浦和に在籍)、常連組のGK池田咲紀子、DF南萌華、FW菅澤優衣香に加えて、MF塩越柚歩とGK平尾知佳(アルビレックス新潟レディース、2014-17年に浦和に在籍)も入った。
浦和レッズを離れて10年が経つが、熊谷選手は凄い。2011年のFIFA女子ワールドカップでは、20歳にしてセンターバックのレギュラーを務め、優勝を決めるPKを蹴った。あの大会を境に欧州に羽ばたき、UEFA女子チャンピオンズリーグ5連覇など、輝かしい成績を残してきた。世界のトップオブトップの選手である。
出典:日本サッカー協会
男女の日本代表10名に加えて、さらにもう一人、DFトーマス・デンが男子のオーストラリア代表に選ばれた。
浦和レッズに加入する前から同代表のキャプテンを務めており、一見すると順当な選出に見える。しかし、昨年11月にグロインペイン症候群という厄介な怪我に見舞われ、復帰したのはつい最近のことだ。「なんとか間に合った」というところだが、人格も素晴らしいトミーが無事に選ばれたことは、実に喜ばしい。
ここまでをまとめると、浦和レッズのサポーターにとって、「俺達の○○」の空欄に当てはまるのは以下の通りである。
▼日本代表(男子)
GK鈴木彩艶
DF酒井宏樹
DF橋岡大樹
MF遠藤航
▼日本代表(女子)
GK池田咲紀子
GK平尾知佳
DF熊谷紗希
DF南萌華
MF塩越柚歩
FW菅澤優衣香
▼オーストラリア代表(男子)
DFトーマス・デン
「ラッキーガール」の有力候補
この11人の中で、五輪代表入りに一番驚き、また注目しているのは、塩越柚歩選手である。
塩越選手は、6月10日に行われた親善試合のウクライナ戦で、代表初キャップ、初スタメンを飾ったばかりだが、いきなりの2ゴール1アシスト。鮮烈なデビューを果たした。
続くメキシコ戦でも途中から起用され、メンバー発表直前の最終テストに間に合った。
4月の親善試合で出番がなかったときは、「呼んだのなら、試すぐらいしろよ」と正直思った。ただ、当時は軽い怪我があったようだし、結果オーライである。
メンバー発表時の記者会見で、高倉麻子監督は「ラッキーガール的な存在が出てくれば、チームの大きな力になると思う」と話したそうだが、まさにその有力候補だろう。
サプライズ気味の選出だったこともあり、注目度も急上昇しているようだ。サッカー界を飛び出し、ファッション誌でも取り上げられていた。
女性アスリートのこうした取り上げ方は気になるところもあるのだが、女子サッカーはプロ化もするし、何より本人が前向きな様子なので紹介。
ただ、OWL magazineはサッカー雑誌なので、もう少し、サッカーの話をしたい。
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「君がなでしこの10番になるんだ」
塩越選手に注目するようになったのには、明確なきっかけがある。
それは2017年4月2日のことだ。
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サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
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