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観光業界初となる新スタイルのテーマパーク構想が飛騨古川で始まっているのではないか

取材相手と約束した期日もあるし、公開スケジュールも決めているので、編集者として納得いく仕上がりに至らなくても、記事を公開せざるを得ないときもある。そんな時であればあるほど、丁寧に振り返って整理することも大切。

なぜ、その方を取材したいと思ったのか、話を聞いて、どこに美しさや魅力を感じたのか、最も伝えたかったことは何だったのか。

記事には書ききれなかったことを、いち個人としてナラティブな形で書くことにしました。うまく伝えられたらいいなと思いつつ、備忘録と自分の頭の整理の意味も含めて、残していきたいと思います。

初めてのNoteで1万字に挑戦しました!正確には9900字です。しかも、気づいたらこんな文字数になっていました(笑)

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1. SATOYAMA EXPERIENCE事業を手掛ける株式会社美ら地球山田拓さんの取り組み

今回取材したのは、10年前から岐阜県飛騨古川地域で、日本の里山の原風景を体験するサイクリングツアー「SATOYAMA EXPERIENCE」を手掛ける株式会社美ら地球の山田拓さん。「SATOYAMA EXPERIENCE」はインバウンド客の割合が圧倒的に多く、なかでも欧米豪圏が9割以上を占めるアクティビティ。

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山田拓さんが出版した著書「外国人が熱狂するクールな田舎の作り方」では、会社立ち上げから出版した2018年に至るまでを、その中で直面した課題や苦労と共に綴られている。

インバウンドが9割ということで、コロナ禍で外国人の入国規制が始まって以来、特に大きな打撃を受けている。今年4月に登壇いただいた弊社ウェビナーでは、

欧米豪のお役様が95%以上、売り上げはほぼゼロ

と語っていた。

コロナ禍でお客さんが来なくなってしまったのだが、実は同社では3年ほど前から、2020年4月お披露目をターゲットに、新規事業「SATOYAMA STAY」の準備を着々と進めていたという。

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新規事業「SATOYAMA STAY」とは、飛騨古川地域で始める分散型の宿泊施設事業のこと。

この宿泊施設もインバウンド客がメインターゲットだったが、当然インバウンド客が戻ってくる目途は現時点では立っていない。

そういった状況のなか、国内のお客様にも利用してもらおうと、クラウドファンディングの募集も始めた。当初の目標金額300万円は、開始から数日で達成したため、現在ネクストゴールを1200万円に設定。

きっとインバウンド客ゼロという状況で打つ手がなく、失意のどん底にいるのではないか。そんな中でも、どうにかしてこの状況を打開しようともがいているのではないか。そう思うと、私も仕事である「記事を書いて発信する」ことで力になりたいと思い、取材を打診した。

そうして出来上がった記事がこちら。


2. 記事を書いたにもかかわらず、敢えてもう一度自分のNoteで書いている理由

記事を書いて公開できたにもかかわらず、なぜ今こうして改めてNoteにも書いているのか。

それは、この記事が不完全燃焼だったから。もちろん手を抜いたわけではないが、どうしても自分の中で納得いく原稿に仕上げられなかった。記事には公開スケジュールがあり、時間の制約もあるので仕方がない部分もある。

でも、完璧主義の私はどうしても納得がいかなかった。本当のところを言うと、自分の準備不足が一番の原因だ。取材自体が思うようにいかず、うまく拓さんの言葉を引き出すことができなかったなど、反省すべき点も多々ある。

ただ、そうこうしている時に、SATOYAMA EXPERIENCE10周年記念の全6回のオンライン対談「サステイナブルな田舎の作り方」が開催される旨を知った。

第1回:ローカル✕サステイナブル経営を考える
第2回:地方部の町並みのこれからを考える
第3回:進化する里山資本主義を考える
第4回:地方創生✕観光立国を考える
第5回:ローカル・エクスペリエンスを考える
第6回:ローカル✕インバウンドツーリズムを考える

この対談を聞いたことで、「私なりに」ではあるものの、ぼやっとして霧がかかったような状態だった、今回の新しい宿泊事業「SATOYAMA STAY」の全貌がくっきりと浮かび上がってきた。

全貌が見えてくると、今回の宿を手掛ける山田拓さんの頭の中には、壮大な構想があるのでないか。10年前に始めたサイクリング事業「SATOYAMA EXPERIENCE」や、今回新たに着手した宿泊事業「SATOYAMA STAY」は、その構想の中のほんの一部に過ぎないのではないか。そして、その壮大な構想とは「飛騨古川を舞台とした壮大なテーマパークを創ること」ではないか、と感じたのだ。

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私の勝手な解釈なので、ご本人が聞いたら「いやいや違う」と言われるかもしれません(笑)が、私なりの解釈を、私なりに言語化してみます。

3. SATOYAMA EXPERIENCEの究極のゴール、飛騨古川版新スタイルのテーマパーク?!

繰り返しになるが、山田拓さんの様々な話を聞く中で私が思い描いたこと。それは、山田拓さんは飛騨古川にしかない新スタイルの滞在型テーマパークを構想しているのではないか?ということだ。

一般的に、テーマパークというと、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどが思い浮かぶ。これってつまるところ、何もないところに「ゼロ」から、そこでしか体験できない世界観が味わえるように創り出された施設。入場ゲートがあり、券を購入して中に入ると、そこでしかないコンセプトが体現された世界が緻密に創り上げられている、そんな世界。

それに対して、拓さんが思い描いている(であろう)飛騨古川のテーマパークは、既に飛騨古川に存在するものや、地域らしさをフル活用するという点で、少し違う。もしかしたら、全く似て非なるものかもしれない。そこに必要なのは、地域の外から来た観光客がその良さを本質的に理解し、楽しめるような仕掛けだ。

なお、飛騨古川のテーマパークには、明確な入り口はない。ただ、仮に入場ゲートがあるとしたらそれは飛騨古川駅になる。入場料を払う必要もない。ただし、用意されたアトラクション(=体験コンテンツ)を、お金を出して体験することで、その場所ならではの良さを味わえ、より深く知り学びを得ることができる。

テーマパークという言葉がふさわしいのかどうかは分からない。けれども、テーマパークに行けば、そこに創りあげられた世界観を体験できるのと同じように、飛騨古川を訪れた観光客が、”飛騨古川が織りなす世界観”に、深く浸れるような場所づくりを目指し、今その仕掛けをつくっている真っ最中なのだと思った。

飛騨古川というテーマパークで提供する、アトラクション(=体験コンテンツ)の1つが、10年前に始めた飛騨古川の原風景を味わえるサイクリングツアーであり、そして、今回新しく始める飛騨古川の歴史や伝統、職人技を感じられる分散型の宿泊施設であり、飛騨古川の人と触れられるよう設けられた交流スペースであり、今回新たに始める地元の人と食を通じて繋がる郷土料理のクッキングクラスではないか。

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他の取り組みを否定するわけではないが、「他の地域にも存在する分散型宿泊施設」でもなければ、「よくあるクッキングクラス」ではない。テーマパークに例えていうならば、全て飛騨古川らしさ、その世界観を体験するアトラクションの一つなのだと思う。

4. 地域に根差した飛騨古川テーマパーク構想が目指す世界観

そして、それぞれのテーマパークごとで大切にする価値観があるのと同様に、この壮大な飛騨古川テーマパーク構想でも大切にしている価値観がある。それが「サステナビリティ・持続可能性」。飛騨古川という地域に古くから根差すものを体現するアトラクションなので「持続可能であるかどうか」にこだわるのは必須だ。持続可能なアトラクションを用意しなければ、テーマパークとして継続しないからだ。ここは、何もない場所にゼロから創り出しているテーマパークとの大きな違いであり、飛騨古川のテーマパーク構想の最大の特徴だと思う。

なお、「持続可能とはどういうことなのか」「どういう点で持続可能なのか」という問いに対して、私は大きく3つの意味があると思っている。

1つは、地球環境に良い、優しいという環境面での持続可能性。2つ目は、これまで受け継がれてきた飛騨古川の歴史や伝統、街並みなどを継承する地域らしさの持続可能性。3つ目は、地域産業を永続させ域内循環を生み出すという経済面での持続可能性。この3つの側面から、今回の「SATOYAMA STAY事業」のことを深く知るにつれて、なぜ今回宿泊施設を手掛けたのか、それも分散型宿にしたのか、「SATOYAMA STAY」でなければならない理由が見えてきた。

持続可能とは? どういう点で持続可能なのかに対する3つの側面
4-1)環境面での持続可能性
4-2)地域らしさの持続可能性
4-3)経済面での持続可能性

 この3つを以下で詳しく説明していく。

 4-1)環境面での持続可能性:環境に配慮した持続可能なシステム

環境面については、今回の分散型宿に使用する電力は、CO2ゼロを達成目標に、実質100%自然エネルギー由来の電力を供給する「ハチドリ電力」というところから電力を買っている。

将来的には近くに山を購入し、そこで太陽光や水力など使って自家発電をし、そこから電力を供給することも考えているのではないかと、個人的には思っている。

電力以外にも、宿泊施設内には廃材を利用したテーブルを置いたり、使用する食器、家具も近隣の方から譲っていただいたものを活用するなど「リユース」も取り入れている。また、部屋にはペットボトルを置かない代わりに、ウォータースタンドを設置するなど、プラ・PET削減にも取り組んでいるのがそのこだわりだ。

 4-2)地域らしさの持続可能性:地域課題の解決、地域らしさの継承

地域らしさの持続可能性は、伝統産業を維持するという観点から見ると、このあと、4-3)で触れる「経済的な持続可能性」とつながる部分もある。そして、ここの部分を紐解くと、なぜ今回拓さんは宿泊施設を手掛けたのか、その答えが見えてきた。宿泊施設が、考えられる中で最良の選択肢であり、それ以外の方法がなかったのではないか。そのことが、納得感をもって理解できた。

■飛騨古川で建設業は奈良時代以降、代々受け継がれてきた伝統産業

まず、飛騨古川の伝統産業の維持を考えるにあたっては、飛騨古川の歴史を知る必要がある。飛騨市観光協会のHPにはこう書いている。

古くから「匠の里」として栄え、現在でも建築業に従事する人の割合が高いといわれる飛騨。
奈良時代以降、高い技能を持っていた飛騨の匠たちは都に派遣され、藤原京や平城京、平安京の建築にも携わったと伝えられている。
万葉集や日本書紀、今昔物語、源氏物語などにも、飛騨の匠たちの真面目で一途な仕事ぶりや高い技術への賞賛が描かれているほど

つまり、高い技術を持つ飛騨地域の大工は、古くは奈良時代までさかのぼり、大変重宝されていた。

また、景観についても以下のような記述がある。

古川町の中心部は明治37年の大火でほぼ消失しましたが、飛騨の人々はその後、伝統的な建築様式を踏まえて家を建て直しました。現在でもその名残から、殿町、壱之町、弐之町を中心に、伝統的な町屋がいくつか残っており、新しく建てられた一般の家々も、飛騨の匠の技を随所に取り入れ、美しい古川の町並みを守っています。

なお、この街並みが維持されている背景には、地域に住む人々の自主的な取り組みが発端となっているそうだ。1996年(平成8年)に住民からの発案で「飛騨古川ふるさと条例」が制定されて以降、条例では

歴史的景観地区での建築行為に対して、助言やアドバイスがなされる

とある。条例の制定は25年ほど前のことだが、高度経済成長期のめまぐるしい開発が行われた時期に、条例なしでこの街並みが維持され続けてきたのは、住民の建築様式や、街並みへの誇りや愛着があってこそだと思う。

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■伝統産業を今後も残していくための手段としての宿泊施設

飛騨古川では伝統的に建設業が盛んで、今もなおその技法や手法が受け継がれていることは触れたが、飛騨古川地域でも他の地域と同じように、過疎化、高齢化に直面している。

過去に拓さんが手掛けてきた町家に関する調査結果から、この地域でも、空き家や、空き家予備軍と言える65歳以上だけが住む家が年々増加し続けていることが分かっている。

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2018年3月時点の町家の状況。オレンジが空き家、黄色は65歳以上だけが住む家

たとえ、条例が制定されて建築行為に対して制約が課されたとしても、空き家が増えれば、老朽化していずれ取り壊されてしまう可能性が高くなる。そうなれば、これまで保たれてきた美しい街並み景観は崩れてしまう。

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これらをまとめると、宿泊施設、それも分散型の宿を手掛けることが、代々受け継がれてきた飛騨らしさの景観を守りながら伝統産業でもある建築(建設)業の継承に繋がる唯一の方法ということだ。空き家のリノベーションや伝統的な町家の新築が、大工の技術継承という面でも貢献できる。

もし仮に、建設業が飛騨の伝統的な主要産業でなければ、違った選択肢を取っていたのかもしれない。

 4-3)経済面での持続可能性:域内調達に拘り、地域経済の循環にも貢献

伝統産業の維持が、経済的な持続可能性にも繋がることは上でも触れたが、経済的な持続可能性を考えるにあたって最も大切な要素がある。それは、域内調達を増やして域内循環を高めることだ。

域内調達、域内循環を高めるにあたってみるべきポイントは大きく2つある。ここは、奥が深い。観光に関わらず地域活性化を考えるにあたって絶対に忘れてはならないポイントだと思う。

1つは、観光客が来て飛騨古川で何か商品を買ったり、サービスを受けたときに、その商品やサービスを構成する要素がどこまで域内産にこだわれるかだ。仮に10万円の商品が売れたとしても、その原価の7割が外国産、あるいは遠方から仕入れたものであれば、域内に残るのは3割のみ。ただし8割が域内から取り寄せたものであれば、8割のお金が域内で循環する。

2つ目は、商品やサービスを売ることで儲かった地域の事業者が、生活に必要なもの、欲しいモノやサービスを買う際に、可能限り域外に頼らず、域内で消費できるかどうか、ということだ。例えば、本を買うにしても、Amazonなどのネット通販で買えば域内にお金は残らないが、地元の本屋さんで買えば、その儲けは本屋さんに還元され、域内で循環する。

域内で経済が回るようになればなるほど、地域で新たな産業や事業が生まれることにもつながるし、それが雇用や、企業の儲けによる地方行政の税収にもつながるだろう。これが持続すれば、移住者や関係人口の増加にもつながっていく。こういう循環ができれば、持続可能な地域へとつながっていくのだ。

今回のSATOYAMA STAY事業では、町家を建築するにあたって必要な木材や設計デザイン、施工、施設内の家具家財、畳やのれん、宿泊したお客様に提供する朝食を手掛けるフードコーディネーターからそこで使用する食材に至るまで、必要なもの全てを、極力飛騨古川地域、あるいは岐阜県内の企業に依頼するというこだわりよう。つまり、1つ目で触れた、宿泊施設で提供する商品、サービスを構成する要素まで、徹底的に飛騨古川産、岐阜産で揃えているのだ。

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地元の企業に依頼せず、より安い原価で作れる企業にお願いすれば、もっと安く仕入れることができたに違いない。また、飛騨古川の域内生産額全体と比較すると、今回の宿泊事業で生み出された付加価値額は、一部かもしれない。それでもSATOYAMA STAYが飛騨産、岐阜産にこだわるのは、飛騨古川という地域の持続可能な経済を実現するために必要なアプローチだと言える。

1つたりとも妥協を許さず、細部にまで拘ってSATOYAMA STAYを創り上げている点も『飛騨古川のテーマパーク』と言える所以だ。

5. 総工費1.8億円のプロジェクト、公的資金なしほぼゼロで着手

この記事を書きたかった一番の理由は、「飛騨古川で動こうとしている新プロジェクト構想の魅力や世界観を伝え、クラウドファンディングへの支援をしたい」ということ。

何かしらの形で支援できないかと思ったとき、私の頭に思い浮かんだのは「実はこの事業、全貌は飛騨古川テーマパーク構想なのではないか」という仮説。そのこだわりを、私の解釈に基づいて言語化し発信することで、一人でも多くの人によるクラウドファンディングでの支援に繋げたいと思って書いている。

今回のSATOYAMA STAY事業は、古民家再生という要素があるが、補助金や助成金などの公的資金はほぼなし、融資を受け、民間事業として取り組んでいるという。
なぜ、民間事業として挑戦することにしたのか、その理由はいろいろあるようだが、一番の理由は「飛騨古川のテーマパーク構想プロジェクトだから」ではないかと思う。

それは、どういうことか。

飛騨古川ならではの世界観を築き上げ、その世界観に人々が魅了し、思わず足を運びたくなるテーマパークを創るのに、公的資金はそぐわないと判断したのではないか。(一般的に、テーマパークに公的資金が投入されているのかはわかりません)また、徹底的に域内循環に拘るプロジェクトだからこそ、補助金に頼るのではなく、地域に価値を感じて訪れてくださるお客様から対価をもらいたい、という想いもあるのかもしれない。

ただ、持続可能性に徹底的にこだわった結果、今回のSATOYAMA STAY事業の総工費1.8億円にものぼったという。同社の雇用規模は10名程度、10年前に始めたSATOYAMA EXPERIENCEに参加するゲストは年間約4500人という数から想像するに、1.8億円規模のプロジェクトはかなり大規模で、決断するには相当な葛藤があったのではないか、と思う。(私には、その感覚を理解することは難しいと思います………)

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ここまでの覚悟をもって、しかも、おそらくこれまで誰にも助けを求めることなく事業を進めてきたのではないか、と思う。それは「SATOYAMA EXPERIENCEに魅力を感じる欧米圏のお客様であれば、絶対に魅力を感じて来てくれる」という確信があったからだ。ただし、コロナ禍の入国規制に伴い、インバウンド客は99.9%減、売り上げはほぼゼロ、かつ訪日インバウンド客の戻りは、年内は厳しいという見立て。中長期的には復活するだろうが、戻ってくるまで指をくわえて待っているわけにはいかない。国内客へのアプローチと取り込みに向け、クラウドファンディングを開始したという。

当初設定していた目標300万円は達成したため、現在着手中の蔵の改修総工費1200万円をNEXT GOALとして設定し、支援を呼び掛けている。

6. テーマパーク構想の凄さを何とかして伝えたい

ここまで説明して、なぜ記事を書きたい、クラウドファンディングを支援したいと思ったのか。なぜかって、このプロジェクトが本当にすごいと思ったから。

もともと飛騨古川の出身ではないヨソモノの拓さん。たまたま縁あって飛騨古川への移住をきっかけに、様々な困難にぶつかりながらも、他の誰よりも飛騨古川地域の将来のことを真剣に考えている。そしてそれをしっかりと着実に行動している。

そして、3年かけて作ったこのSATOYAMA STAYの構想も知れば知るほど、痺れる。だって、飛騨古川というなーんもない田舎に、これまでにない新しいテーマパークを創ろうと本気で思っているから(きっと)。キングコング西野が絵本をもとに作ろうとしているテーマパークもすごいと思うが、それに匹敵する、いやそれ以上に壮大で新しいものだと(勝手に)思っている。だって、ゼロから作るのではない、既にあるものを活用して田舎にテーマパークを創ろうとしているんだから。この発想が大胆。

さらに、テーマパークの世界観や構想が「3つの持続可能性」で、スキがないほどしっかりと創り込まれている。そしてその世界観をなるべく忠実に実現しようとしている。またそのコンセプトが「持続可能性」という今の時代の流れに沿ったものになっている。

もっとすごいのが、このテーマパーク構想を補助金や助成金といった公的資金に頼らず、ほぼ民間の融資だけでやっていること。これってつまり、「テーマパークで循環するお金も持続可能性」に拘っている、っていうことだと思う。補助金や公的資金を否定するわけではない。でも、公的な資金っていずれ終わりがやってくる。けれども、テーマパークに来るお客さんは、その場所が魅力的であり続ければ、リピーターが絶えず訪れ、事業としても継続する。これも「持続可能」に繋がる要素だと思う。

だから私は思う。クラウドファンディングへ支援することは「飛騨古川に新しくできるテーマパークのアトラクションを、一足先に味わえる特別な入場券を買う」ということではないか。
さらに言うと、このテーマパークには、ガウディが建築したサクラダファミリアと同じで「完成系」はないんじゃないかと思う。飛騨古川のテーマパーク事業の意志を引き継ぐ人がいる限り、そしてこのテーマパークに足を運ぶファンがいる限り、変化しながら、次の世代、その次の世代へと続いていくのではないか。

繰り返しになるが、クラウドファンディングに参加するっていうことは、飛騨古川テーマパーク構想事業に参加できる前売り券を買うことと同じだと感じている。総工費1.8億円とか、当初予定していたインバウンド客ゼロで大変だから支援が必要とか、ただそれだけの話ではない。
言葉でうまく表現できないが、ここに参加することで、なんにもないと地元の人が言う田舎がテーマパークへと進化する様子、それは田舎に起こる価値の逆転というべきか、破壊的イノベーションが地域で起こっていく様子、そういった化学変化が起こる直前、変化していく姿を見ることができるんじゃないかと思う。

テーマパークに例えると、何もない更地にテーマパークが創られていくその様子を特別に見ることができるというか、どのようにして出来上がっていくのか、その過程を垣間見ることができるという、期間限定の絶好のチャンスなんだと思っている。

私は、本当はそういうことを感じていたし、一人でも多くの人にそのことを伝えたかったんだと思う。だからもう一回書いたんだと思う。

7. 最後に…飛騨古川のことをさらに深く知りたい、理解を深めたい方へ

かなり熱く語ってしまったが、私がこのように感じるようになるには、いろいろなインプットがあってのこと。その一つの手助けとなったのが、全6回の対談式のウェビナー「クールな田舎の作り方」だ。既に全部の会が終わってしまっているが、8月17日までの限定でYoutubeにアーカイブが残っている。

気になっている方は、ぜひ一度見ていただきたい。飛騨古川の魅力が少しは伝わるのではないかと思う。

個人的な意見だが

Vol.1「ローカルxサステイナブル経営を考える」
→域内循環とは何か?といった、サステイナブルの本質を知るにおススメ!
vol. 2「地方部の町並みのこれからを考える」
→飛騨古川の建築や街並みの歴史について触れる
vol. 3「進化する里山資本主義を考える」
→新型コロナウイルスが拡大する現状をデータをもとに客観的な情報を取り入れるにはおススメ!
※里山資本主義の話はあまり出てきませんでしたが、日本の里山の魅力や飛騨の魅力を、独自のアプローチで解説しているのは面白いです

と感じている。

拙い文章ではありましたが、これまでの記事を通じて伝えた「飛騨古川の新スタイルテーマパーク構想」が気になった方、何かしら、次のアクション

ここで紹介している別記事を読んでみる
過去のウェビナー対談動画をYoutubeで見てみる
飛騨古川の歴史や伝統についてもう少し調べてみる
クラウドファンディングページを読んでみる
山田拓氏が出版書籍”クールな田舎の作り方”を買ってみる

など、それ以外でも何でもいいから、繋げていただければ、書いた身としてはこの上ない喜びです。

一人でも多くの人が「飛騨古川テーマパーク構想」(勝手に名付けた)プロジェクトへの理解が深まればいいなと思っています。そして欲を言えば、1人でも多くの方のクラウドファンディングへの支援に繋がれば幸いです。(8/18追記:クラウドファンディングは8/17をもって終了しました)

最後に、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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