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新刊「学び直し大全」の「はじめに」を全文公開します!

11月22日に4冊目の著作となる「学び直し大全」が刊行されます。

岸田首相が「リスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じる」と表明するなど、いま「学び直し」は大きな注目を集めるキーワードとなっていますが、「学ぶ」ということは仕事に活かせるスキルや技術を習得するだけでなく、大人のマインドフルネスにも効果があると考えています。
この本では、さまざまな領域の学びを「ラーニングフルネス(学びの幸福感)」の視点からメソッドとして公開して、誰もが「簡単に始められて」「楽しく学び続けられる」方法を体系化しています。

多くの方が興味を持たれている「学び直し」について今回は「はじめに」を全文公開します!

はじめに:なぜ今「学び直し」が必要なのか?
 
学ぶことは最高のエンターテイメントだ
あなたは「勉強」と聞いて何を連想しますか?
「苦痛」「大変」「面倒くさい」そんなネガティブな言葉が出てくる人も多いのではないでしょうか。
これは、私たちが学生時代に「勉強しなさい」「勉強しないとダメですよ」と言われ続けて、「勉強= 嫌なこと」という固定観念を持っているからなのです。
そして学生生活を終えて社会人としての生活をスタートすると、仕事やプライベートにと忙しくなり自然と勉強からは遠のく生活になっていき、やがて忙しい生活の中で、テレビやSNS な
どで息抜きするという毎日を過ごしていくことになります。
こういった受け身のエンターテイメントだけで人生を過ごしていくのは本当にもったいないことです。
「学ぶ」ことは自らが作り出すことのできる最高のコンテンツです。
自分が本当に興味のあることを、気が済むまで学び続ける。これ以上の楽しいことはありません。
学ぶことは最高のエンターテイメントなのです。
 
「学校」は本来「楽しむ場所」を意味する言葉だった
勉強は学校でするもの、そんな思い込みもあります。
学校とは、みんながテストでいい点を取るために机に向かって一生懸命に勉強している、そんなイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、「学校」を意味する英語「school」は、もともとギリシャ語の「余暇」を意味する「schore」からきていると言われています。
学校とは「机に向かって勉強する場所」ではなく、「みんなが音楽やスポーツ・議論などを楽しむ場所」「暇つぶしのための場所」を表す言葉だったのです。
本来は「学校=嫌な場所」でなく「学校=楽しい場所」であり、学ぶことはレジャー(余暇)、つまりあなたの人生をもっと楽しくしてくれるものなのです。
 
学ぶことはDNAに刻まれた快感である
狩猟生活をしていた原始時代においては、「どこに行けば獲物がつかまえられるのか」「どの植物が食べられるのか」「この後、天気がどうなっていくのか」といったことを知ることは人間が生き残るために必要なことでした。
全身の神経を集中して「新しいことを学ぶ」ことは生死にかかわる大事なことであり、だからこそ新しいことを学ぶことはDNA レベルに深く刻まれた喜びを感じることができるのです。
世界的歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリは著書『サピエンス全史』(河出書房新社)の中で、私たちの祖先のホモサピエンスが生き残った要因の一つとして、「新しく学んだこと」を言葉で仲間と共有したことをあげています。
言葉で学びを共有することで、サピエンスは集団で行動できるようになり、他の人類種や危険な動物たちを追い払うことができたのです。
 
学びに没頭する喜び(ラーニングフルネス)を感じよう
学びに没頭することで、新しい喜びを感じることもできます。
スポーツの世界では「ゾーンに入る」という言葉があるのをご存じでしょうか。
ここで言う「ゾーン」とは、集中力が高まり自分の感覚が研ぎ澄まされ、まわりの景色や音などを感じなくなるほど自分の運動に集中できる意識の状態を指します。
ひとたびこのゾーンに入ったアスリートは、驚異的な集中力で通常以上のパフォーマンスを実現することができます。
勉強に集中する時にも、スポーツと同じようにこの「ゾーン」に入り他では味わえない集中した状態を経験することができるのです。
実際私も学んでいることに集中した後は、日頃の仕事や家庭の悩みを忘れてとてもスッキリした気分になります。
これこそが学ぶことで得られるマインドフルネス、ラーニングフルネスなのです。
 
歳を取るほど「新しいこと」が少なくなる
人は歳を取るごとに「新しいこと」を始めることが少なくなっていきます。
いつも同じルートで会社に向かい、同じような仲間と仕事や遊びをこなし、週末も同じようなことの繰り返し、そんな風に自分の好きな世界で生きていくことが心地よいものになってくると、「新しいこと」を始める気持ちにはなかなかなりにくいものです。
とくに30 代40 代以降の経験豊富で多忙なビジネスパーソンは、未経験の分野に足を踏み入れるのに 躊ちゅう 躇ょするのではないでしょうか。
せっかく自分のスタイルが固まってきたところで新しいことを始めるということは面倒なことですし、失敗したらどうしよう、まわりに言うのが恥ずかしい、そんな気持ちもわいてきま
す。
何を見ても「これは聞いたことがある」「これは知っている」「これは面白くないと思う」と、どんなことに対しても冷めた気持ちを感じてしまうのです。
しかし、改めてゼロから「学ぶ」プロセスを体験し、新たな刺激を受けることには多くのメリットがあるのです。
 
人生100 年時代に必要なのは「見えない資産」
これまで私たちは、大学卒業までを「学ぶ時」、仕事を始めて定年までが「働く時」、その後の人生は「余生」とされてきました。
しかし、イギリスの組織論学者リンダ・グラットン、アンドリュー・スコットが著書『ライフシフト』(東洋経済新報社)でいうように、これからを生きる私たちは、世界的な長寿化によ
り、人間が100 年以上生きるという「人生100 年時代」を過ごすこととなります。
寿命が延びれば、この後70 代80 代まで働くことが当たり前になっていくでしょう。そして、仕事のステージが長期化することによって、さまざまなステージの移行を数多く経験する「マ
ルチステージ」の生き方が主流になってきます。
ここで必要となるのは、画一的な生き方にとらわれることなく、人生を通して変わり続けていく生き方です。
それではこの変わり続けることが求められる時代において、わたしたちは何を大切にして生きていくのがよいのでしょうか?
それは、スキルや健康・人間関係などの「見えない資産」です。
「老後には2000 万円が必要だ」といったように、金銭的資産の形成を直接目指すのではなく、家族や友人関係、知識や健康といったお金に換算することのできない「見えない資産」を貯め
ていくことが、最終的には金銭的資産の形成を助けてくれるという考え方です。
誰も経験したことのない人生100 年時代においては、この「見えない資産」と「見える資産」のバランスを取り、相乗効果を狙う必要があるのです。
 
世界が注目する「リスキリング」とは?
今注目されているリスキリングとは、職業能力の再開発や再教育のことを指す言葉です。
海外では数年前からリスキリングの重要性が指摘されていて、2018 年の世界経済フォーラム(World Economic Forum)でも、リスキリングの必要性が訴えられました。
人生100 年時代になり寿命が伸びるということは「働く期間が伸びる」ということであり、テクノロジーや時代の進化によって仕事に求められるスキルは大きく変わっていきます。
学校を卒業してずっと同じ会社で働き続けるモデルは通用しなくなり、学校を卒業して社会人になった後もスキルを身につけ直す・学び直す教育機会の必要性が高まってきたことで、リスキリングが世界各国で注目されているのです。
これまでの日本社会は、多くの人が終身雇用で守られ社会全体も安定していました。しかし、長引く不況やデジタル化の発展により、世界的な変化の時代に突入しました。
この時代において変化しないということは「退化」していることと同じであり、常に自分をアップデートさせるために「学び続け」「進化し続ける」ことが必要なのです。
だからこそ世界中の政府や企業が、こぞってリスキリングの拡充を推進しているのです。
本書では、人生100 年時代に「楽しく学び続けられる」方法を体系的にまとめてご提案してみたいと思います。
全体の構成としては、次のように学び直し「69 の公式」と「7 つの鉄則」という形式でまとめています。
 
第 1 章 学び直し「7 つの鉄則」とは【コア・ルール編】
第 2 章 学び直しは「一冊の本」から始めよう【インプット(指南)編】
第 3 章 ジャンル別学び直しガイド【インプット(実践)編】
第 4 章 どうすれば学んだことを自分のものにできるのか?【アウトプット編】
第 5 章 どうすれば学び続けられるのか?【テクニック習得編】
第 6 章 学び直しでマインドフルネスを感じよう【パフォーマンス向上編】
 
とくに3 章では、教養として学んでおきたいジャンルとして37 分野において、それぞれの学びの入り口としておすすめしたい書籍を紹介しています。
本書の中で気になった本があれば、ぜひご一読ください。きっと、新しい学びの世界が広がっていくことでしょう。
そして本書が、読者の皆様の「学び直し」において、少しでも参考としていただけるとしたら、著者としてこれに勝る喜びはありません。
 
以上

実際の本では、37ジャンルの学問をそれぞれの領域の入門書を通じて紹介していますので、よろしければぜひよろしくお願いします!

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