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Web3ではさまざまな「コンテンツプラットフォーム」が生まれる

Web3で進化するクリエイターエコノミー
Web3は、ブロックチェーンなど分散型のネットワークをベースとした非中央集権型の仕組みで、個人がデータや決済の主導権を握るといわれていますが、そういった世界ではコンテンツやクリエイターはどう進化するのでしょうか?

Web1.0では、テレビや映画などの大きなメディア・コンテンツ企業がコンテンツを制作しユーザーに届けていました。ユーザーが制作するコンテンツはテキストベースのWebサイトなどに限定されていました。
Web2.0では、ユーザーは簡単にコンテンツを制作し発信できるようになりました。しかし、あくまでそれはSNSなどのプラットフォームを通してのコンテンツ流通でした。
Web3で、トークンを使うことで企業やプラットフォームを介することなく、ユーザーが直接コンテンツを販売することや課金することが可能になりました。
こうした非中央集権的なコンテンツ流通が可能になったことで、新しいクリエイターエコノミーの可能性が広がったのです。

トークンで生まれる新しい「コンテンツ経済圏」
トークンとは「特定のサービスやプロダクト」に限定された通貨であり、それらのサービスやプロダクトを中心に循環する小さな経済圏はトークンエコノミーと呼ばれます。
すでに何らかの仮想通貨を保有している人も多いと思いますが、そういった人たちはみんな「そのサービスやプロダクトの経済圏に参加している」とも言えるのです。
こうした新しい経済圏はコンテンツの領域にも発生してくるでしょう。

トークンエコノミーの特徴としては、実在する貨幣や通貨とは違った形で価値生み出すことができるため「資金調達」「スマートコントラクト(契約の自動化)」が行いやすいということがあります。
このため、これまでは大きな会社や組織だけが可能であったビッグコンテンツを、独立したクリエイターがコラボレーションして制作することも可能になってくるのです。

「コンテンツプラットフォーム」の誕生
クリエイターがトークンを発行し、その動きに共鳴した他のクリエイターやユーザーがコンテンツをつくっていく。
そして、そのコンテンツ自体がプラットフォームになり、さまざまなステークホルダーを巻き込んで大きくなっていく。
そんな「コンテンツプラットフォーム」が生まれる予感を感じます。

DAOによる「新しいクリエイティブコミュニティ」の誕生
その動きを支えるのが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)です。
DAOに関しては、この記事を読めばよく理解できるのですが、

DAOは「Decentralized Autonomous Organization」の略であり、日本語では自律分散型組織と訳されます。それだけ聞いても「?」という感じですが(僕もそうでしたw)、簡単にいうと社長のいない会社のようなものです。

株主、経営陣、役員などのような管理者がいなくても、ミッション実現に向かってメンバーが自ら自律的に価値提供をして、事業を推し進めていく組織のことをDAOと言います(この組織(Organization)の部分はCommunityやCompanyとも言い換えることができDACと呼ばれることもあります)。

上司やリーダーいなくてもそのようなことは可能なのでしょうか?最も有名なDAOはビットコインのプロジェクトと言われており、サトシナカモトというリーダーがいなくても世界中のマイナーたちによる貢献によりビットコインは100兆円近い時価総額まで成長しています。

https://note.com/shinkinjo/n/nbdcc0f6f3acb

というように、「会社」という組織や「管理者」がいなくても自走できる組織やコミュニティのことです。

こうした新しいクリエイティブコミュニティが国を超えてコラボレーションして、新しいコンテンツプラットフォームをつくっていくことでしょう。

コンテンツは「富めるプロトコル」に勝てるのか?
しかし、本当にコンテンツに大きな資金が投入されていくのでしょうか?
Web1.0からWeb2.0の時代においても、当初はユーザー主導で新しいコンテンツ経済圏が生まれる期待があったものの、資金の大半はプラットフォームに流れていきました。
同様に、Web3においてはトークンを発行するプロトコルレイヤーに資本が集中しているといいます。
これを「富めるプロトコル(Fat Protocol)」といいます。

https://www.linkedin.com/pulse/top-sectors-web3-2022-revenue-tomasz-tunguz/

彼が提唱したことを一言で表すと、ブロックチェーンの産業構造においてはプロトコルレイヤーの価値がアプリケーションレイヤーを上回り、「富むプロトコル(Fat protocols)、貧するアプリケーション(Poor applications)」になるという予測です。

これまでのインターネットの世界においては、共有プロトコル(TCP/IP、HTTP、SMTPetc)は誰もが利用する社会的価値のあるものとして認められる一方で、技術に対する金銭的な価値はあまり付けられてくることがなく、むしろその上に乗るアプリケーションに対して価値が集中してきました。

特にGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)やマイクロソフトの躍進がそれを端的に示していると思われます。

一方でブロックチェーンについてはこの「プロトコルレイヤー」「アプリケーションレイヤー」の価値のバランスは逆転します。Joel Monegro氏によればアプリケーションレイヤーを支えるプロトコルレイヤーにこそ価値がつき、アプリケーションレイヤーはこれを超えることができないというのです。

https://www.yamato0506.info/fat-protocols-investment/

実際の投資額をみてみても、「取引所」や「NFT」「ゲーム」などを大きく引き離して、「L1(Layer 1=プロトコルレイヤー)」への投資が1位となっています。

https://www.linkedin.com/pulse/top-sectors-web3-2022-revenue-tomasz-tunguz/

果たして、コンテンツプラットフォームは、こうしたプロトコルレイヤーを凌駕して新しい経済圏をつくることができるのでしょうか?

今後のWeb3とコンテンツの動きを注視していきたいと思います。

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