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0002 遅いインターネット、遅い映画、遅い都市

最近、「遅い」がキーワードとなっているようです。

背景としては、情報が爆発するようなペースで増えていく毎日の中で、少しスローダウンしてゆっくりとそしてしっかりと生活を見直していこうという流れがあります。

思い起こせば、かつて「スローフード」の大きなムーブメントがありました。

スローフード(英: slow food)は、1986年にイタリアのカルロ・ペトリーニ(イタリア語版)によって提唱された国際的な社会運動。ファストフードに対して唱えられた考え方で、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動、または、その食品自体を指す。 - Wikipediaより

ヨーロッパやアメリカのコミュニティから生まれたこの運動は、「人は喜ぶことには権利を持っている」というコンセプトに代表されるように、単なる食事の問題にとどまらず、その土地その土地の伝統や文化に影響を与えてきました。さらには「スローライフ」として、人としての生き方にも影響を与えるようなムーブメントに広がってきました。

さらにこのムーブメントは、「スローシティ(遅い都市)」というコンセプトにも発展し、デジタル化によってどんどん高速化していく都市へのアンチテーゼとして機能してきているのです。

僕が好きな事例は、NY交通局のジャネット サディク・カーンさんなどが主導したNYの都市計画なんですが、このTEDトークが有名ですね。

NYのタイムズスクエアに歩行者スペースなど作るなどされていましたが、
「これからの都市はAからBへの移動の効率化だけでなく、Slow Downが大事だ」というメッセージが印象に残っています。

ちなみに、こちらが2年後のアップデートバージョンのスピーチですが、ちゃんと街のSlow Downに反対する人たちの意見なども取り上げていて偉いなと思いました。

日本では、宇野常寛さんが「遅いインターネット計画」を提唱されています。

そして、最近では「スローシネマ」という流れもあるようです。

この記事にあるような、長回しを中心とした静的な映像で日常のストーリーを描くといった表現技法だけでなく、グローバル化や環境問題などに対する問題意識から表現モチーフ自体を新しいマインドセットに向かわせるものまで、いろんな方向で取り上げられているようです。

マインドフルネス系の本や瞑想アプリが人気だったりするのも、こういったスローな流れのひとつかもしれませんね。

アメリカでも最近「Doing Nothing(何もしない)」ことの大切さを問うことが多くなったように感じます。

こういった考え方やビジネスは、今後さらに増えてくる予感がします。

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