7日間ブックカバーチャレンジ 第1日目(堀有伸)
#7days #7bookcovers
#BookCoverChallenge
1週間、自分の好きな本について投稿する企画についてのお誘いを受けました。コロナのこともあり、自分もいろいろと考える時期だったので、受けてみることにしました。
初日は、この二つから。
○カント『純粋理性批判』
いきなりドン引きされそう…。
でも、これは間違いなくすごい本なんです。私の理解では、「神学に支配された中世の終わり、近代的な思考の開始の徴候である」ような本です。
そして、現在の神経科学の発想の原点の一つとも言えるでしょう。
カントの時代まで、学問的な論争と言えば神学論争。たとえば「針の上には天使が何人乗ることができるか」などといったテーマについて、当時の社会の一番頭が良いとされる人々が、真剣に議論していたそうです。
しかし、そういった議論が深まるなかで、いくつかのアンチノミー(二律背反)が重要な関心事になってきました。
アンチノミーとしては、例えば、次のようなものがあります。
「世界は時間・空間的に有限である」
「世界は時間・空間的に無限である」
このどちらについても、もっともらしい証明が行われます。「では、どちらが本当なの?」という問いが、いくつも出たのがアンチノミーです。
カントはここで、天才的な転換を成し遂げます。
「対象(世界)の問題じゃなくて、私たちの認識能力の問題なんだよ」
そして、私たちの認識する内容は、私たちの認識能力(認識する形式)によって規定されているというもの。
感性の形式が時間と空間。
悟性の形式が、カテゴリーとなります。
でも、元の本に当たるのはハードルが高いと思うので、解説書を一つおすすめします。
○ビオン 「考えることについての理論」
こちらの本に収録されている論文です。
精神分析家の中で、もっともカント哲学を積極的に学び、自分の理論構築の中に取り込んでいったのはW.ビオンでしょう。
人間の考える力の形式について、「考えること」(もっとも望ましい)と「道徳的な万能感」(ちょっとしょっぱい)「排泄(投影同一視による)」(かなり残念)の3つに分類しました。
「ちゃんと考えることを続けて、成長して行かれる人」「道徳的な万能感と排泄ばかりして、考えない装置みたいに心がなっている人」に分かれてしまうのって、恐ろしいことだな、と思いました。
ところで、「ビオン」「考えることについての理論」でgoogleで検索したら、次の私が書いた文章が最初に出てきて、ちょっと嬉しかったです。
https://www.huffingtonpost.jp/arinobu-hori/kohut-bion_b_4680016.html
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