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脳性麻痺への新しい治療アプローチの可能性

今回の内容は専門的な内容になりますが、なるべく平易な言葉を使い治療家・ご家族の双方にわかりやすく書きたいと思います。



脳性麻痺特有の体質が見えてきた

結論から言うと脳性麻痺児・者は、
脳や全身で慢性炎症を起こしている可能性があります。

生活の中で経験する炎症と言えば、
・切り傷やねん挫などの部分的な炎症
・風邪、インフルエンザなどの全身性の炎症
などですね。
通常、炎症は最大でも5日間程度です。

炎症はよく火事に例えられます。
慢性炎症とはボヤがダラダラと体内で続いている状態です。

慢性炎症は様々な病気と関係があるとされ、これを背景にした代表的な疾患は、
・糖尿病
・高血圧症
・認知症
・ガン
etc
引用 アスゲン製薬

すぐに病気になったり、身体機能を下げる訳では無いですが無い方が良いのは明白です。
体の正常な生理反応や機能を徐々に阻害します、ましてや脳で起きると良い訳は無いです。

根拠としている論文のリンクを載せておきます。
●炎症性メディエーターは自閉症スペクトラム障害と脳性麻痺において神経炎症を引き起こす。


●脳性麻痺の炎症マーカーと神経発達との関係

最初に示した論文では脳脊髄液からサンプルを採取して成分を調べたと書いてあります。


ここまでのまとめ

脳性麻痺児・者では、
・体の中の炎症性物質が部分的に多い
・慢性炎症の可能性がある
・脳などの神経発達や機能に影響がある可能性がある

もちろんこれらの研究をもって全ての人に適用できる内容とは言えません。
性別、年齢、人種の差もあるかも知れません。
脳性麻痺でも小児期からすでに発生するのか?成人期なのか?など分からない事もあります。


慢性炎症は脳性麻痺の症状も強める

これは個人的な見解です。
脳性麻痺の特徴である麻痺や筋緊張の異常などの症状も炎症による影響を受けていると考えています。

炎症は短期的には体を治すプロセスとして重要ですが、長期間続くことは本来ありません。通常5日間程度のはずです。(例外あり)

炎症物質は神経伝達を抑制したり、痛覚の感度を上げたりする作用もあるので余計に症状を強めている可能性があります。

つまり慢性炎症を軽減することが出来れば、脳性麻痺特有の症状も減らせるということです。


鍼通電には強い抗炎症効果がある

鍼を刺して微弱な電気を流すことで炎症を鎮める効果があります。特に足三里というツボに行うことで強い抗炎症効果が期待出来ます。

足三里に低頻度、低強度で鍼通電することで迷走神経−副腎系が駆動して副腎皮質ホルモンが分泌、全身性に抗炎症作用が発現します。

根拠としているのは以下の論文です。
●迷走神経-副腎軸を駆動する電気鍼治療の神経解剖学的基礎


脳性麻痺に対するメジャーな治療としては
・投薬
・リハビリ
・装具
ですが元々持っている体質的なモノ、体内環境に対するアプローチは無く、鍼通電での治療には可能性を感じます。


施術方法

足三里と他の遠位のツボ(例えば太衝etc)に3番の鍼を刺入り深さは前脛骨筋筋膜に当たるか、少し貫通する程度。深さは小児なら1cmも必要無いと思います。(つまり浅い)

電気の強さは0.5mA(電流量がとても少ない)
通電頻度は1〜2Hzくらい。(1秒に1回電気が流れる)
本人が電気を感じていなくてもOKなので、ごく弱い電気刺激で良いのも小児には利点です。

以上の事から脳性麻痺でよく聞く、頭への鍼通電よりも刺激量もリスクもかなり少ないアプローチです。


考えられるリスク

鍼通電は迷走神経系を活性化するため、端的に言えばリラクゼーション(ドーパミン系、セロトニン系)がかかり過ぎて以下の様な副作用が考えられます。
・ダルさ
・倦怠感
・眠気

また鍼全般に言えますが、
・極軽微な出血
・内出血
・チクッとした痛み


まとめ

・脳性麻痺は炎症物質が多く慢性炎症状態にある
・慢性炎症が麻痺などの症状を強める可能性がある
・鍼通電療法は炎症を抑える効果がある

現在、脳性麻痺のお子さんや成人の方で鍼通電療法の介入研究に参加して頂ける方を探しています。

●介入研究とは
鍼通電療法を行ってみて、どの様な結果が生じるか?を観察する研究です。

●以下の様な症状、状態の方
・睡眠障害
・疲労感、倦怠感
・強い痛み

●費用
材料費と出張費込みで1000円を頂きます。

●時間
・初回 60〜90分
・2回目以降 30〜45分

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XアカウトにDMを頂けると助かります。
その他、疑問や質問もお願いします。

https://x.com/kid_therapist?t=MAvC_QnUF_Fiir30pWF9XQ&s=09


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