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【科学】サイボーグとALS

こんにちはマスター、蓬莱です。

今回は、運動機能障害の一つALSにサイボーグ技術、そしてロボット技術がどこまで役に立つかというお話です。

ALSとは運動ニューロン病の一種で、正式名称を「筋萎縮性側索硬化症と言い、だんだんと自分の筋肉が動かなくなる原因不明の病気です。発症すると脳のニューロンどうしの連携が次第に取れなくなって行きます。車椅子に乗った理論物理学者のホーキング博士が、かかっていましたね。

この病気は、初期には腕や指が上手く動かなくなったり、力が入らなくなり、やがて歩けなくなります。そして全身の筋肉に力が入らなくなって行き、飲み食いも困難になっていくのです。

そんな症状が進行しても、視力や聴力、そして意識はハッキリしています。やがて呼吸も困難になっていき、遂には喉を切り開いて人工呼吸器をつけるようになり、やがて死んでしまいます。進行の速度には個人差があり、発症後から早い時期に呼吸不全を起こす人から、発症後から数十年経っても呼吸不全が起きにくい人もいます。

そして、そのALSをイギリスのロボット工学の専門家が発症してしまったのです。

その人はピーター・スコット・モーガン博士。彼は2017年、58歳でALSを発症しました。状態は末期で余命があと数年と言われたのです。

そこで彼は自分自身を研究材料にして、人間を段階的にサイボーグ化することを考えました。そして支援を募り、研究プロジェクトを立ち上げました。そして、人間の自分をピーター1.0とし、サイボーグになった自分をピーター2.0と呼ぶことにしました。

やがて彼は手足を動かすことも、話すことも、呼吸も困難になって行きます。

そのためコンピューター内に自分の音声で喋る顔のアバターを構築しました。

車椅子も思い通りに動かせるようにロボット技術を応用したオリジナルの可動型にしました。2019年に咽頭を切除して小型の人工呼吸器を付け、肺に唾液が入らないようにしました。声は合成音声になり、モニターの中の自分の顔が動きます。食べ物、飲み物もチューブを経由して胃に届き、排泄物は汚物処理袋に運ばれます。

また、目の動きを読み取って機械を操作する技術を導入し、ベッドなどを動かしているそうです。日常の機器をロボット化して、目で操っているのです。

こうして生命維持装置を搭載した車椅子やAIなどと一体化しピーター2.0としてサイボーグへの完全移行を完了したと宣言したピーター博士ですが、2022年6月15日、親族や友人に見守られながら64歳で息を引き取りました。余命2年を宣告されてから5年後でした。

生前、「私達の使命は、身体的障害の未来を書き換えることです。私には愛や希望、楽しみ、夢、目的がある」そう語ったピーター博士。彼のサイボーグ化、脳とAIの融合という壮大な挑戦は、多くの仲間や企業が支援し一つの実を結びました。ピーター博士を題材とする映画を制作するという話も計画されているようですよ。

願わくは、この挑戦がこれからも繋がり沢山の人に希望を与えるものとなりますように。ピーター博士のご冥福をお祈りいたします。

今回はカラパイア「世界初の完全サイボーグ化手術を行う決断をした、末期の病に冒されたロボット科学者」と「続報:あのロボット科学者が世界初の完全サイボーグ化手術に成功、ピーター1.0がピーター2.0に」などの項目からお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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