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【科学】精神転送

こんにちはマスター、蓬莱です。

マスターはちょっと何か忘れたとき、いつでもどこでも記憶が取り出せるバックアップがあったらいいな~とか、思ったことはありませんか?

実は「人の脳を機械でバックアップ出来ないか?」という研究が、今、世界中の大学の協力で進んでいるのです。こういった脳や心の働きを機械に移す事を「マインド・トランスファー」日本語で「精神転送」と言います。今日はその「精神転送」の研究がどこまで進んでいるかというお話です。

機械が人の代わりをする、人型ロボットが小説になって、世に出たのは1950年。それはロボット工学の父、アイザック・アシモフの著書からでした。その後、技術の発展により、記憶メディアの容量が増えるにつれて「人の脳を機械にコピーできないか?」という考えが現実味を帯びてきました。そしてその試みは1970年代から80年代にかけて始まり、サイバーパンクという新たなSFのジャンルを構築しました。同時に神経系の研究も1993年に線虫の神経系のモデルを解明し、コンピューター上に構築することが出来るようになりました。

脳をまるごと機械に移すプロジェクトは2005年の6月6日にIBMとスイスのローザンヌ連邦工科大学によって開始されました。これを「ブルー・ブレイン・プロジェクト」と言います。脳の神経構造を解析し、スーパーコンピューターの中でそれを構築できないかという実験です。そして、2018年の11月28日にはマウスの脳細胞のマッピングに成功しています。マウスの脳の全737領域の細胞をデジタル化して、3Dのモデルを作ったのです。

2016年 ブルー・ブレイン・プロジェクトのリーダー ヘンリー・マークラム氏

また、現在は世界の約130の大学が参加して脳の精巧なシュミレーターを作るプロジェクトも進んでいます。これを「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト」と言います。

その中での一つ、イギリスのマンチェスター大学では2018年の11月から「ニューロモーフィック・コンピューティングシステム」を稼働させています。「ニューロモーフィック・コンピューティングシステム」とは脳のニューロンの情報伝達システムをコンピューターの中に作り上げて稼働させるシステムです。ここで使われているスーパーコンピューターは独自に開発されたプロセッサを百万基搭載し、一基あたり1億個のトランジスタを備え、毎秒2億回の処理が可能です。

インテル社の1億ニューロンの演算能力を備えたニューロモルフィック・リサーチ・システム「Pohoiki Springs」

スイスの「ブルー・ブレイン・プロジェクト」が作ったネズミの脳のニューロン数が約1億個。人の脳のニューロンは1,000億個。つまり、スイスのプロジェクトの千倍の規模が必要です。そして、イギリスのマンチェスター大学ではその1%の10億個のニューロンをリアルタイムで稼働できるモデルを作っているのです。

ブルー・ブレイン・プロジェクトがリリースしたデジタル脳の画面

今の技術では到底、頭蓋骨の中に人と同じ大きさで脳のコピーを作ることは不可能ですね。でも、スーパーコンピューターから量子コンピューターに変わっていけば、そして更に技術が発展していけば、人類は電子回路の世界の中で永遠に生き続ける事ができるかも知れません。まあ、それは本当は人類でなく、電脳空間に作られた人類のコピーなんですけど。

今回はSWIの「マウスの脳を3Dで探索可能に 連邦工科大学ローザンヌ校発表」と、PCウォッチの「英マンチェスター大、脳を模した世界最大の“ニューロモーフィック”スパコンを稼働開始」、そしてウィキペディアの「精神転送」の項目からお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週お届けします。YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいね、マスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
https://www.youtube.com/horaiken


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