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ワインエキスパートってどんな試験?

2019年、ワインエキスパートに合格した。

ワインが好きな人、仕事で扱っているけどまだソムリエ受験資格を満たさない人が受けるのがこの資格受験者の大多数だろう。

何回かに分けて、この資格、どうやって受かったかお伝えしていく。
まずこの記事では、資格、試験の特徴から。

本題に進む前に

この試験、私はワインスクールに通わず、テイスティング講座も受けず、ネットと本屋で手に入るものだけで合格した。資格マニアかと思われそうだが、そうではなく。私は元ワイン業界の人間(1年で辞めたけど)
この背景があるため、他の独学者と比べアドバンテージがあったのは違いない。こうした状況を踏まえ、2019年の受験記録を書いていきます。

どんな資格?

普通、ワインの資格といえば思いつくのがソムリエ
日本ソムリエ協会(J.S.A.)が定めるソムリエ呼称資格が一般的。ただ、これは誰でも受けられるものではなく、受験するためには3年以上の業務経験が求められる。

・アルコール提供のある飲食サービス業
・ワインや酒類の仕入れ、管理、輸出入、流通販売、教育機関講師、製造
・アルコールを取り扱うコンサルタント業務

ここには、客室業務員や調理従事者も含まれる。なのでフライトアテンダントやシェフも、3年以上の経験があれば受験可能。一方で、アルコール提供のないカフェの経験だけでは受験できないので注意。

このソムリエ資格の受験条件から漏れてしまう人、上記業務が1~2年の新人なんかは、このワインエキスパートを取りに行くことが多い。もちろんワインラヴァー(一般の愛飲家)も。
私が過去務めていたワイン業界の企業では、新人で早速エキスパートの勉強をはじめ、1年目から受験している人が多かった。私はだらだらとメドックの格付けを覚えていたが。笑

なお、過去5年間でエキスパートに合格していれば、ソムリエ試験を受ける際に一次試験が免除される。なので手始めにワインエキスパートを受けるというステップは、決して無駄ではない。

その他、どんな試験かは、検索すれば星の数ほど説明している記事があるので、そちらを見てほしい。

あとこれはJ.S.A.の資格についてのページ。

どんな試験?

2019年のスケジュールを見てみよう。だいたいは2020年も同じだと思われる。

応募期間:3/1~6/28まで
一次試験:7/20~8/30
二次試験:10/9

応募期間
意外とあるように見えてあっという間だ。
だが申し込む前にやってほしいことがある。
どんな資格かは既にわかっていると思う。それでも、どんな試験かを見てほしい。本屋で対策学習本や対策問題集を立ち読みして、ざっと出題範囲や出題形式を確認する。

受験料は決して安くない。J.S.A.の会員ではない一般受験で、一次試験を2回受験(後述)する場合、2019年は税込29,760円だった。いや、高いよ。

なのでまず「どんな試験なの?なに勉強するの?」というイメージを自分で持つ。いくらネットで記事をみても、わからないことは多い。
思っていたのと違う試験に高い受験料を払うのはあほらしい。面倒くさがらずに立ち読みして、勉強する自分がイメージできるか確認してほしい。

で、「あ、これなんかイメージろ違うかも」となったら、受験料を払う前に考えよう。

ワインエキスパートは、ワイン好きなら持てたら嬉しい資格。だけど、資格が必要なお仕事じゃなければ、無いとどうしようもない資格ではないのだから。無資格者でもワインを愛することはできる。

一次試験
応募して入金すると、絶望的に分厚い教本が送られてくる。2019年は700ページを超えていた。この本全部が試験範囲になるのが一次試験だ。

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筆記試験で、CBT方式と呼ばれる、パソコン上でマークシート方式で回答するもの。パソコン教室とか、就活でSPIを受けるPCセンターなど、そういう場所で受けることになる。

4択問題で、出題数は確か130問。試験時間は70分。
合否はその場で出てくる。だいたい7割が合否のボーダーラインが通説。

一次試験は1回の受験で2回まで受けることができる。これが、受験スケジュールを立てるうえで重要なポイント。スケジュールについては次回。

気を付けたいのが、会場予約。
一次試験の会場は、ワインエキスパートの試験を受けるためだけの会場ではない。CBT方式を採用する他の試験の受験者も会場を利用する。つまり、土日の日中などは予約が殺到する。

出題範囲は教本全体で、残念ながらまんべんなく出る。
詳しくは次回以降書くけど、ただ資格が欲しいだけなら、メドックの格付けあたりのよく言われる暗記項目は、覚える必要は無いかもしれない。ワインで食うとか、ワインのことをちゃんと学びたい、知りたいのであれば覚えてないとダメだけど。

二次試験

一次試験でモニターに合格の二文字が表示されたら、二次試験に進む。

ソムリエとワインエキスパート、両資格とも一次試験も同じ出題範囲だけど、二次試験から変わってくる。ソムリエは割愛。

試験形式はマークシート方式。ただこちらは鉛筆でぬりぬりするやつ。赤2種、白2種、そしてその他の酒類が1つと、5つのグラスが用意される。

ワイン4種は外観、香り、味わい、フレーバー、評価、適切なグラス、収穫年、生産国、ブドウ品種を、用意された選択肢から選ぶ。その他の酒類だけ、なんの酒か手書きで回答する。

時間は50分。なのでグラス1つあたり10分。最後のその他のお酒は名前当てるだけなので5分とすれば、ワイン4つには、1つ当たり11分くらい。マークするにも時間がかかるので、正直だいぶ時間が無い。

昔は「一次通れば二次はよほど外さなければ受かる」と言われてたようだけど、いまは割と落ちるらしい。

テイスティングときくと「このワインは19XX年のボルドーのシャトーXXXX…」とか言ってるのをイメージするけど、この試験で問われるのはそこ(だけ)じゃない。

何故なら、収穫年も生産国も品種も、解答欄のひとつでしかないから。若干配点が違うけど、決定的ではない。香りや味わいなど、全体をしっかり見る力があるかどうかが問われる。

二次試験の合格率は正直よくわからない。自分も香りや味わい、色の部分では外さなかったけど、品種や生産国は外したものもあったし、こればかりは外見、香り、味と総評のすべてをバランスよく取れれば受かるとしか言えない。

で、受かると金色のブドウを手にする権利がもらえるわけだ。

ワイン飲みじゃなくても合格できた理由

私が1年でワインエキスパートに合格できたのは、かつてワイン業界にいたからというのが最大の理由。
もうひとつ大きいのが、ワインそのものより、ワインという文化や地理に関心があったからだと思う。

ジョージアで生まれたブドウの発酵飲料。それが西へ伝播し、西欧でいまのワイン文化の礎が築かれ、花開き、大航海時代に白人の世界進出とともに新世界へ広がる。一方東欧では、西欧中心の世界から忘れられながらも、人々の暮らしの中にずっとあったという、歴史と文化。

ここに山があり、麓に湖がある。そのためこの畑には冷たく湿った風が吹く。だからこの品種が良く作られる。海岸線沿いに山脈があるため、海風が山を越える頃には乾燥した風として吹き付ける。そのため…といった地理的要素。

こういう、この国でワインが造られる理由。この地域でこの品種が作られるのかの根拠。そこを知ることに積極的になれたから、絶望的な分厚さの教本を、短時間に3周できたのだと思う。

それが嫌で、でも資格が欲しい場合、投資を惜しんでる場合じゃないんで、ワインスクール行きましょう?

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