果実味
※そのうちリライトして、ここかブログに載せ直す。
ワインの味や香りについて表現するとき、多彩な語彙が用いられるのは皆さんご存知。
その中に、「果実味」という分野がある。
果実味っつったって、ブドウの酒なんだからブドウの味(果実味)するに決まってんだろーが。という人がいるはず。ごもっとも。
でもワインは不思議なことに、ワインとして飲めば飲むほど、ブドウの味は感じなくなる。
発酵、熟成、開けてから起きる酸化、その過程で生まれる香りや風味は、実に多様。
とはいえ、果実にも色々ある。
たとえば私が名乗る柑橘。
レモン、オレンジ、ライム、金柑、シークワーサー、パッションフルーツ…あとはオレンジピールやママレードジャムといった加工品。
これらの果実味が違うことはイメージできると思う。
ワインの味を指す果実味も、柑橘系だけでもこれ以上表現がある。
「フレッシュなライムの香り」がするのは、ざっくりいえば…ソーヴィニヨンブランかな。SBはハーブとか、ひどい言い方すると「草」の風味があるものも。もちろん爽やかっていう意味で。
パッションフルーツの風味はシチリアあたりで作られるワインにある。そういうワインはトロピカルフルーツのようなニュアンスがあることも。ブドウの酒でだよ?
ママレードジャムのような酸味と甘味が調和した柑橘系の果実味は、シャルドネに多い。
リースリングはどうだろう、レモン、かな。すっきりしてるけどスパイシーなんだよな、あれ。
今あげた3つの名前(ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、リースリング)は白ぶどう、つまり白ワインを作る品種。
なるほど柑橘ってばフレッシュ感あるし、赤ワインぽくはないよね。
と思いきや、赤ワインでもオレンジピールのニュアンス…なんて言われる味もある。
なので困ってしまう。
次は赤。
「ベリー系の果実味が…」これも常套句。あと「赤系果実」「黒系に果実」もある。
ベリー系果実というのは、ラズベリーやブルーベリー、クランベリー、ボイセンベリー、ストロベリー、ブラックベリー、カシス、グーズベリー…とかのこと。
あとハスカップも品種的にはベリーらしい。ハスカップをワインの表現で使ったことはないけど…。
ここにイチジクとかチェリー、プルーンなんかが黒系果実の仲間。
いい加減にしてほしい?
まだまだ、ここに香辛料や花、あとは舌触りとかもある。
赤系はストロベリー、ラズベリー、あたり。
黒系はブルーベリー、カシス、プルーン。
あとは境界線がよくわからない。笑
それに「フレッシュなラズベリー」と「熟したラズベリー」もある。
イメージがつくかもしれないけど、色が明るいほど、ライトボディと言われるワインで感じられる果実味だ。
ボジョレー・ヌーヴォーなんかはストロベリーやアメリカンチェリーの香りとよく言われる。そこに製造方法の特性として吟醸香に似たバナナやメロンのような香りがつく。
ピーチやアプリコットはというと、イメージとしてはやや粘度を伴う味だということ。さっぱりすっきりとは少し違う。
白ワインではコテコテに太陽の光を浴びたっぽいワイン(なんだそれ)や、丁寧に作られたシャルドネでよく感じる。
うんざりしてきたでしょう?でもソムリエとかワイン屋さんは、こうやって味や香りを選り分けて特徴を伝えようと頑張っている。先輩や先生、テキストから教わるこれらを、出来る範囲で実際のものを食べたり嗅いでみて、「なるほどこれね」とボキャブラリーを増やしていく。
語学と同じ。
これをもっと楽しく伝えられたらなあ。
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