#002 “夏の朝の成層圏” -Island Book Review-
文明生活に還るか、このまま孤独な日々を送るか!?
無人島で迫られる究極の選択 池澤夏樹2連発で失礼。前述の通り、ポンペイ島をモチーフとしたファンタージー風小説から池澤ワールドへと吸い込まれていった私が次に引き寄せられた先は、やはり太平洋の島の物語であった。本書は池澤氏の小説デビュー作であり、同時に彼の南島小説の原点でもある。
主人公の「彼」ことヤスシ・キムラ(マイロンにはヤスと呼ばれる)が体験する、船からの転落、洋上漂流、干渉の小島への漂着、無人島での生活、人との接触と、