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俺のおやじ、ミノル 【其ノ弐】俺のおやじ、ミノルは、いたずらの申し子である。

俺のおやじ、ミノルは、
いたずらの申し子である。


昔は、年上、年下関係なく、
近所のこどもたちや兄弟みんなごちゃまぜになって
遊んでいたものだ。
 
今みたいにテレビやゲームなんてなかったから、
外で遊ぶしかない。
 
おやじも例に漏れず、兄貴や近所の悪ガキと
毎日のように戯れていたそうだ。


ある日、庭で遊んでいて、
家にあったなかば腐りかけた臼(うす)に
頭突きをしていたときのこと。

突然、兄貴かその友だちが、背後から
乗りかかるように押してきた。


と、おやじの頭ははそのまま臼の底を突き破り、
首の先から反対側に飛び出てしまった。

抜こうと足掻いても、
抜けた穴がささくれ立っていて、
どうにもならない。

哀れ、おやじは臼に頭を突っ込んだまま
お陀仏してしまうのだろうか……..


慌てた兄貴は、吹っ飛んで、
町中で大工をしているとうちゃん(俺のじいさん)を
呼びに行った。

職場から駆けつけたとうちゃんは、
物置からのこぎりを1本持ち出し、
臼に切りかかる。

おやじは身動きはできないが、
幸い、臼の内側は大きな空洞なので、
息はできる。


数十分後、おやじは無事救出された。
「ウス人間」として人生を終えずにすんだ。


しかし、こんなことで懲りるようなおやじでは、ない。
 
その後、“イタズラ坊主” ミノルの悪行は、
どんどんエスカレートしていくことになる…..


ぴーこ


#創作大賞2022

#俺のおやじミノル
 

実家にいた頃は、俺にはおやじはいるのか?と思うくらい、夜遅くまで呑みあるっていて顔を見る機会も少なかったおやじ、ミノル。晩年は缶ビール1本を飲むか飲まないか、というレベルの酒量でしたが、それでも楽しく嗜んでいたようです。おやじへの酒代として大切に使わせていただきます。