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風の音が聞こえませんか(小笠原慧・角川書店)を読んで

本書を読んでいるうちに、「Fragile」だと思った。ソーシャルワーカーの美知は脆くて儚い。もし、本書がドラマになったなら、EveryLittleThingのfragileが絶対合うと思った。美知は、あまり自我を持っていない人のように感じた。精神病患者の晃は実はいい性格だという事が読み進めていくうちに伝わって来た。
本書では、風の音については残念ながらあまり深く触れられていない。幻聴が風の音のように聞こえてくる事があるようだ。
美知も晃と関わっていくうちに、体調を崩して病的になっていくのに、それが別の角度から見れば幸せに見えたり、でも悲しい展開でもあるのだが。
美知は本来の意味の幸せを掴まずに、破滅的に突き進んでいくのが切なく感じた。

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