101才チヨさん逝く



去年4月から訪問していた101才のチヨさんが亡くなった。

大往生と言うべきか。

亡くなる2週間ほど前あたりから、体調の変動が目立ってきた。

優しい素敵な笑顔でウィットに富むおしゃべりをふたりでケラケラ笑い合いながら、

時に、呼吸があらくう~う~と苦しそうな声を出し、“コワイ”と言うチヨさん。

一進一退の日々だった。

お嫁さんは、
ご飯を、
お水を、
薬を、
なんとか口にしてもらおうと一生懸命だった。

誤嚥の苦しさを話すが、
だって、
薬は飲ませないと。
食事を摂ってもらわないと。
水を飲んでもらわないと。

101才の方にその薬は必要なの?
その食事は必要なの?

前みたいに美味しそうに食べなくなって・・・
どうしたらいいか、
自分じゃ判断できないのよ~

お嫁さんも葛藤されている。

最近、上手く薬を飲めなくなって、
訪問医に話すが、
そうですか。
それで終わりだった。と。

チヨさんの訪問が終わると、時に30分以上もお嫁さんとおしゃべりをするようになっていた。

農家本家長男の嫁。
彼女の悩み、思い。

チヨさんは、
週2回の訪問看護、週一回の往診医訪問、週一回の入浴介助、残りは訪問介護という在宅ケアーチームで自宅介護を続けていた。

私は看護師であるが、役割は訪問介護。
週8回訪問。

温かいタオルを手渡すと、“あ~あったかい。気持ちがいいわ”
ご自分で入歯を外し、うがいをしてもらう。
立ち上がりも、移動も見守るだけで、しっかり立ち、車椅子でトイレへ。
その後は日当たりのいい居間で日向ぼっこをしながらしばしおしゃべり。

チヨさんと過ごす時間はとても温かくほんわかほんわか。
ゆったりゆっくり時間が流れていた。

もうその時間はなくなった。

寂しい。

「家で看取る」

在宅チームのお手伝いがあるとはいえ、お嫁さんがほぼ一人で担う在宅介護。

体調が悪いようだけどお風呂に入れてもいいのかしら?

訪問入浴時、付き添いの看護師に聞くと、
家族の判断なのでと言われたと。

わからないから聞いたのに・・・

薬を飲ませるのが大変で。
水分をなかなか摂れなくて。

訪問介護の家族への介入。
訪問看護の家族への介入。

看護の役割、介護の役割とは。

訪問するたび考えてしまう。

在宅チームでありながらチームでないような。

小雪舞う3月3日雛祭りにチヨさんは旅立った。

チヨさんありがとう。

      合掌。


チヨさん宅に続く道。
もう通うことはない。


 


 


 


 


 


 


 

 

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