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旅の記憶17〜アレーナ・ディ・ヴェローナの「アイーダ」

未見だが、「プラシド・ドミンゴ〜アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭2020〜」が公開されている。イタリアのベネト州の街ヴェローナの中心部、古代ローマ時代の円形闘技場を会場として、毎夏オペラを中心とする音楽祭が開かれており、そのステージの記録である。

夏の夜の野外オペラ、舞台は古代遺跡、是非とも体験したかった。ロンドン時代の1998年か99年だったと思うが、夏休みの家族旅行で行くことにした。当時小学生の娘2人を連れていることもあり、連夜のオペラは避け、同じベネト州で電車で簡単にアクセスできるヴェニスと組み合わせて旅程を組んだ。

ヴェローナの市街は、我々が訪れた後、世界遺産に登録されるが、歴史的な街並みが残っている。街を散策しつつ、有名な観光スポット「ジュリエットの家」を訪れた。シェークスピアの「ロミオとジュリエット」は、敵対関係にあるモンタギュー家とキャピュレット家にそれぞれ生まれた、ロミオとジュリエットの悲劇だが、舞台となった街がヴェローナである。

こうした背景もあり、キャピュレット家のモデルとなったファミリーの邸宅が、「ジュリエットの家」として公開されている。ロミオが家の外から愛を語るシーン、ジュリエットが顔を出したと想像させるバルコニーがしつらえてある。そして、中庭にはジュリエットの像が飾られているのだが、胸を触ると幸せになるということから、多くの観客がその像の胸をなぜる。その為、胸が金色に光っていた。

日が陰り夕食を取り、夜の帷が降りるとオペラの時間である。私が選んだ演目は、やっぱりヴェルディの「アイーダ」である。エジプトを舞台とした壮大なオペラは、闘技場という器にピッタリである。

開演時間が近づくと、観客は小さなロウソクに火を灯す。客席に広がる、ロウソクの炎は気分を高揚させてくれる。今はどうなっているのだろう、スマホの明かりにとって代わられているのだろうか。

そしてオペラ開幕、ドラマは進み第2幕の“凱旋の場”、有名な「凱旋行進曲」が流れるが、トランペットなどの金管がステージ後方の観客席から奏でる。広々としたステージを隊列が行進する。後半の感動的な場面も含め、円形闘技場、そしてヴェローナの夜空が最高の舞台装置となっていた。

翌日、レストランで食事をしていると、近くのテーブルに「アイーダ」の主役の一人、アムネリス役を演じた女性がいるのを娘が発見した。折角なので、前夜のステージを観たことを告げると、彼女はとても喜び、「私も初めてヴェローナで歌った。素晴らしかった」と興奮していた


献立日記(2021/9/1)
鶏むね肉のグリル〜ケバブ風ヨーグルトマリネ
レンズ豆のサラダ
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