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中間報告〜「小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!」@シネマヴェーラ渋谷

前回の記事の後、シネマヴェーラ渋谷で「エノケンの頑張り戦術」、森繁久彌主演の「喜劇 とんかつ一代」、由利徹/南利明による「東海道弥次喜多珍道中」と観てきたが、中間報告的に、「東京の暴れん坊」について書く。

「東京の暴れん坊」は斎藤武市監督、小林旭主演の映画。Amazon Prime Videoでも配信されているので、行かなくてよいかと思ったが、小林信彦が週刊文春の連載「本音を申せば」第1110回(5/20号)で、本イベントについて言及しており、その中に<「東京の暴れん坊」(1960年)は小生が読書新聞のコラムで絶賛したのに、さほど評判にならなかった。小林旭はここから始まるのにと口惜しい>と書かれていたので、観ることにした。

知らない日本映画の名品がまだまだ沢山あることを、改めて実感した。小林旭歌う主題歌にのって始まるオープニングがまずオシャレである。書き割りをバックに、出演者が次々に顔を出す。小粋なミュージカルの幕開けという感じである。

ヒロインは浅丘ルリ子、銀座に残る数少ない銭湯の娘。小林旭は、同じ銀座の洋食レストランの跡継ぎ、パリに留学から帰ったばかりで、銀座の人気者。この二人が軸となって展開されるラブ・コメディー。テンポが良く、野暮ったくならず、脇の小沢昭一、藤村有弘といったところが笑いをしっかり取る。吉田茂を模した、元総理大臣も良いアクセントになっている。そして、ネタバレになるので詳しくは書かないが、最後に観客をスカッとさせるプロットが素晴らしい。

オムライスやハンバーグに代表されるように、日本人は西洋の料理を日本流に仕立て直すことが得意である。ただ、ワイルダーやハワード・ホークスらが作ったラブ・コメディーは日本人にとって不得意な分野だと思っていた。ところが、私の生まれる前に、こんなソフィスティケートされた喜劇が出来ていた。

そして、舞台となる銀座が素敵である。銀座が「銀座」であったころの物語である。

前述の通り、Amazon Prime Videoで観ることができる。一見の価値あり!



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