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手の中の音楽26〜オーティス・レディング「Live in Europe」

昨日(5月2日)、片岡たまき著「あの頃、忌野清志郎と」について書いていたが、今朝、通勤時に4月30日放送の村上RADIOを聴くと、アトランティック・ソウル特集だった。

いつもとは趣向が違い、早稲田大学の村上ライブラリーでの収録。村上春樹がゲストにスガシカオを迎え、聴衆を前にしての二人のトークと音楽である。アトランティックはアメリカの大手レコード会社だが、その中にソウル部門があり、アレサ・フランクリンオーティス・レディングを輩出した。ラジオで語られていたが、モータウンのような洗練さではなく、サザンソウル特有の土っぽさが魅力である。

かつて、忌野清志郎がこの世界に私をいざなった。ライブで“スイート・ソウル・ミュージック“を演奏する時は、曲間にカバーを入れることが恒例。ビートルズの“Strawberry Fields Forever“なども歌われたが、やはりソウルがピッタリきた。

日比谷野音で、清志郎が歌ったウィルソン・ピケットの"In the Midnight Hour“も、超かっこよかった。(村上RADIOでは、ピケットの“Funky Broadway“が流れた)

これに刺激され、最初に買ったソウル・レコードは、やはりオーティス・レディングだった。アルバムは1967年リリースの「Live in Europe 」(邦題:ヨーロッパのオーティス・レディング)。なぜこの作品だったか、よく覚えていないが、清志郎のライブは多分にオーティスに影響されているという知識からであろう。ライブ盤に手を出した。大学生の頃である。

そして、これを聴いてぶっ飛んだ。もの凄い迫力と、観客席の熱気が伝わってくる。“Fa-Fa-Fa-Fa-Fa“での大合唱、“Day Tripper““Satisfaction“といった有名楽曲を、完璧に自分のものにした歌い方。村上ラジオで流れたが、ラストの"Try a Little Tenderness“の狂気とも思える歌唱。

バラードの、“I've Been Loving You Too Long“も心に染みる。この曲は、清志郎も歌ったが、それも素晴らしかった。

バック・ミュージシャンは、スティーブ・クロッパー、ブッカー・T・ジョーンズ、ドナルド・ダック・ダンら。後に清志郎は彼らの演奏と共に歌うこととなる。

あらためてオーティスとRCサクセションを比べて聴くと、清志郎がいかに憧れのオーティスを自分の中に吸収して、忌野版ソウル・ミュージックを作ったかが感じとられる。

オーティス・レディングは、本作が録音されたライブから1年も経たずして、飛行機事故で帰らぬ人になる。享年はなんと26歳という若さである


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