あけましておめでとうございます!〜「和敬清寂」の精神に近づければ
あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いします。
大晦日から1月2日まで、大阪の実家に帰省していました。実家の氏神さんは、玉造稲荷神社。豊臣秀吉が大阪城の鎮守神として祀り、兵乱で消失した社殿などを豊臣秀頼が再建したとされ、境内には秀頼の像が建っています。この他にも、神社には様々な記念碑があります。
江戸時代のお伊勢参りの際は、本神社で旅の無事祈願をしてから旅立ったということで、「伊勢参り起点碑」が置かれています。上方落語の通称「東の旅」は、お伊勢参りを描いた連作ですが、その発端として演じられるのが「煮売屋」。噺の冒頭では、伊勢音頭の一節から「大坂はなれて、はや玉造、傘を買うなら深江が名所」と語られます。
神社のある玉造から、東に40分ほど歩くと深江。今も地名が残りますが、この地には菅笠(すげがさ)を作る職人が多く住んでいたようで、玉造で祈願、深江で菅笠購入というのが、伊勢参りのコースでした。
さて、今回注目した石碑は、「千利休居士顕彰碑」です。千利休は、この玉造に屋敷を構えていたと言われ、その井戸から出た水でお茶を立てていました。実家の住所は天王寺区清水谷町なのですが、“清水谷“の由来は利休も使った良質な水瓶と書かれていました。この歳になって初めて知りました。
石碑には十五世千宗室が揮毫した、「和敬清寂」という言葉が彫られています。
「和敬清寂」とは、<茶道で、主人と客とは心なごやかにお互いをうやまい、茶室・茶道具などは清楚・質素を心がけること。利休が茶道の精神を表す語として使った>(広辞苑第七版)。
こういう言葉を知ると、千利休が織田信長や秀吉に重用された理由の一つが、茶室における作法と広大な世界観に結びつけた、あるいは世界を茶室という空間に引き寄せたことにあるような気がします。
平和に、お互いを敬い、清い心でいること。そして、“寂“というのは<涅槃の異名>(同上)であり、“さび“と読めば<古びて趣のあること。閑寂なおもむき>と、深い概念が広がるように感じます。
正月に良い言葉を学びました。今年は「和敬清寂」の精神を忘れずに過ごしたいものだと考えています
この日の夕刻、大阪市内でも長く揺れを感じた大地震が起きました。被災地のみなさま、さまざまな影響を受けた方々、お見舞い申し上げます。
翌日2日、新幹線で帰京したところ、羽田空港で航空機の衝突事故。
JAL機の方は奇跡的に全員無事でしたが、海保の隊員の方が命を失くされました。被災地に一刻も早く物資を届けようとされていたのではないでしょうか。被災地でお亡くなりなった方々を含め、ご冥福をお祈りします。
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