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「北の国から」来たラーメン〜東京駅「富良野 とみ川」

東京駅八重洲口地下に「東京ラーメンストリート」というエリアがある。名店が並び、私のような勤め人、キャリーバッグを持った旅行客などで、いつも盛況である。

その一角は期間限定出店スペースとなっており、“ご当地ラーメンチャレンジ“と称して、各地の名店が出店してきた。この企画も今の第7弾で最後のようで、4月27日から8月31日まで「富良野とみ川」が店を出している。

富良野と言えば、ドラマ「北の国から」。「北の国から」の脚本家・倉本聰の色紙が掲げられ、そこには“吟味された素朴“と書かれている。

ドラマの中で、さびれた中華料理店で純と蛍がラーメンを食べるシーンがある。まだ少し残っているドンブリを下げようとする店員に、黒板五郎(田中邦衛)が「子供がまだ食ってる途中でしょうがぁ!」とキレる。父と子の名場面として多くの人の脳裏に刻まれている。

「富良野とみ川」のラーメンは、純と蛍が食べたであろう一杯・・・・ではない。

私がいただいたのは、“石臼挽き中華そば“。

なんと言っても麺が素晴らしい。“石臼挽き“とうたうだけはある。これはラーメンなのか?と思うほど、繊細な麺であり、呼称通り“中華そば“である。店内には、使用している素材の一覧が貼られてあり、四種類の小麦の筆頭に書かれているのは、“春よ恋 石臼挽き全粒粉 北海道富良野産“とある。これに代表されるように、使用食材のほとんどが北海道産である。

醤油ベースのスープは、あっさりとしているが力強く、深みがある。チャーシューは、鶏の胸肉と、豚肉の二種。これらの脇役とスープが、麺の味を一層引き立ててくれ、久しぶりに満足の行くラーメンに出会ったように思った。

この店でもう一つ気になるメニューがあった。“期間限定 一日50食 焙煎小麦塩中華“である。
翌週、これを求めて裏を返した。

焙煎した小麦で作った麺は黒い! さぞかし特徴的だろうと一口食べると、これが意外に素直な味である。スープは白醤油をアクセントにした塩スープ。こちらも極めて素直で、姿形とは裏腹に王道の塩ラーメンという感じである。

チャーシューは鶏・豚腕肉に、ふらの山桜でスモークした三枚肉が2枚。全体的にスキッとしているので、スモーキーな三枚肉が合いの手として、良い仕事をしてくれる。

個人的には、素材の香りが感じられる“石臼挽き“の方が好みだが、両者とも高水準。

隣のお客さんは味噌ラーメンを食べていた。これも、ちょっと気になる。吉原遊廓では、初会で出会い、裏を返して少し距離を縮め、三回目に“馴染み“となってようやくお近づきになれる。

“馴染み“になりに行こうかなぁ


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