2023年の積み残し〜上原ひろみ“Hiromi’s Sonicwonder” JAPAN TOUR
昨年の12月7日、上原ひろみのコンサートを、東京国際フォーラムで観た。最終日が12月21日で、その後セットリストを公開するということだったので、記録を積み残していた。
上原ひろみのコンサート体験はこれまで一度だけ。東京JAZZで、ミシェル・カミロとのデュオだった。二人の超絶技巧と音楽性に圧倒され、リピートせねばと思いつつチャンスがなかった。
今回のツアーは、アルバム「Sonicwonderland」を引っさげてのもの。ピアノのみならず、キーボードを駆使したアルバムで、音楽の楽しさを感じさせてくれる。まさしく“ワンダーランド“という印象の本アルバムを中心にしているだろうと、大いに期待したコンサートである。
中央に置かれたピアノの上にキーボードが1台、客席側サイドにも1台が配置されている。メンバーはアルバム同様、トランペットのアダム・オファリル、ベースのアドリアン・フェロー、ドラムのジーン・コイ。フェローのベースは、遠目には5弦エレキ・ベースに見えた。
オープニングはアルバムの1曲目に収録されている“Wanted“、落ち着いた曲調で、各メンバーそしてユニットの自己紹介のような作品。上原ひろみはインタビューで、「バンドメンバー・ウォンテッドの意味〜バンド結成のプロセスを描き」と語っている。
2曲目にはアルバムのタイトル・トラック“Sonicwonderland“。一気に会場は盛り上がる。上原ひろみも3つの鍵盤を駆使し、グルーブ感あふれる演奏。“Wonderland“(不思議の国)に迷い込んだかのように、オファリルのトランペットもエフェクターを使い、思いがけない音が空間を飛び交う。
3曲目の“Reminiscence“(回想)、アルバムではボーカルが入るが、そのパートをトランペットが歌い上げる。
こうして“音のワンダーランド“に包まれた一夜は進行していった。休憩を挟んで、引き続きアルバムからの楽曲が披露されたが、最後の1曲は2003年リリースのデビューアルバム「Another Mind」から“XYZ“。
上原ひろみは、その全身から音を出しているかのようなパフォーマンス、プロジェクトのメンバーの技量も最高で、東京国際フォーラムAに集まった約5000名の観客は、彼らの演奏を堪能した。
アンコールの1曲目には、映画「BLUE GIANT」のタイトル曲をソロで演奏。そして最後には、その名の通りの“Bonus Track“で大団円となった。
コンサートに行けなかった方も、是非アルバム「Sonicwonderland」を聴いて欲しい。セットリストを見ると、本ツアーで全ての楽曲が披露されている。上原ひろみの才能が、様々な光に照らされたような作品を体験すれば、このコンサート・ツアーの素晴らしさを疑似体験できると思う
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