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近所の名店を久方ぶりに訪問〜もはや高級日本料理のような「中華蕎麦 三藤」

最寄りの駅は、東急大井町線の緑が丘。この駅に用事がある人はあまりいないだろう。そこから6分ほど北へ、東工大のキャンパスを右手に、店舗などほとんど見かけない高級住宅街へと向かう。交番のある六叉路にぶつかるが、その交差点近くに「中華蕎麦 三藤(みつふじ)」がある。

自由が丘駅からアプローチした場合、徒歩10分強、最初は色々とお店が並んでいるが、ヤマダデンキを越えた辺りから、徐々に商業店は少なくなり、ようやくたどり着く。

「三藤」を通過しさらに進むと、我が家のある地域に入っていく。つまり、私の自宅から自由が丘にあるジムへと向かうための徒歩ルートにこの店はあり、最低でも週に1回は通過する。

ラーメン屋らしくないたたずまいで、いかにもこだわりの店という感じだったので、開店早々の頃に一度訪れた。その時の印象は正統派の上品な醤油ラーメンで、確かに美味しかった。それでも、再訪することはなかった。

決して味のせいではなく、中途半端な位置にあるため、自由が丘での用事のついでに訪れるには使い勝手が悪い。また、近所なのでいつでも行ける、わざわざこの店のためだけに歩いて行くのも億劫といった理由である。

この日は午前中、自由が丘で髪を切り、午後の外出に備えて一度帰宅する必要があったため、「三藤」でのランチがちょうど視野に入った。

まだ六月というのに暑い暑い土曜日の11時40分ごろ、店内に入ると中が暗い。一瞬、まだ開店していないのかと思ったが、外がかんかん照りなので、余計に暗く感じただけだった。それでも、一般的なラーメン屋に比べると照明は落とされ、ジャズが流れている。ちょっとした、高級割烹のような雰囲気である。

注文はタッチパネル、現金不可。そしてプライシングだが、“中華蕎麦 熟成醤油“は1200円、私の選択した味玉付きは1400円。サッカー元日本代表の本田圭佑が、日本のラーメンは安過ぎ、2000円は払うと発言したが、その世界に近づきつつある。それでも、ギリギリのコスト削減を行なっているのか、お水等はセルフサービスとなっている。

登場した一杯は、やはり“中華蕎麦“と呼ぶべき一品で、美しいフォルム。立派なチャーシューと太めの支那竹、麺はほのかに茶色がかっていて小麦の様子がうかがえる。小豆島の熟成醤油を使ったスープは、濃い茶色をしているが、すすってみるとさほど醤油の強さは感じず、柔らかい味付けである。

味玉を食べると、その味付けなのかスープからか、ほんの少し八角の香りがする。これも、微かなアクセントになっている。

麺は決して必要以上に主張しないが、食感が絶妙。やはりこれはラーメンではなく“蕎麦“である。そして、トータルとしても、ラーメンを食べていると言うより、上品な日本料理の一品を味わっている気分である。

最後数口となった時に、カウンターにあった米酢を少し加えると、爽やかな味に変化し、気持ちよく食事を終えることができた。

上述の通りの場所、お客さまの入りはどうかと思っていたが、行列まではいかないものの、コンスタントに入店して来る。ほとんどが一人客で、静かに食べて帰って行く。

サイドメニューの、“自家製生佃煮の卵かけご飯“、“焦がし豚のまぜご飯“も気になる。次回は、お腹を空かせてチャレンジしようか


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