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観ながら読んだチャールズ・ディケンズ〜代表作「荒涼館」または“Bleak House”(その1)

ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」を観終わり、同じBBC制作の面白そうなドラマはないかと探したところ、前々から気になっていた作品を発見した。

2005年の“Bleak House“、日本語タイトルは“荒涼館“、原作はチャールズ・ディケンズ。イギリスで、結構話題になったドラマである。

ディケンズと言えば思い浮かぶのは、「オリバー・トゥイスト」、「大いなる遺産」。これらは、本棚に並んでいるが未読である。「クリスマス・キャロル」、「二都物語」、「デビッド・カパーフィールド」までは、私の中から出てくるが、「荒凉館」?

電子辞書の広辞苑で、ディケンズを引くと、作品名で挙げられているのは前述の小説に加え「荒涼館」とある。私の無知をあざ笑うように。なお、「大いなる遺産」は入っていない。同じ電子辞書に入っているブリタニカ国際大百科事典を見ると、前述五作に加え、「骨董屋」そして「荒涼館」が紹介されている。

ということで、間違いなくディケンズの代表作の一つ、「荒涼館」全8話のドラマを見始めた。

ドラマは、法廷のシーンから始まる。審理されているのは「ジャーンダイス対ジャーンダイス訴訟」、ジャーンダイス家を巡る、遺産訴訟である。

遺産争いというのは、いつの時代においても醜いもので、関わり合いになると不幸になると、距離を置くのが、「荒涼館」の主人で当時者の一人でもある、ジョン・ジャーンダイス。慈悲深い彼は、一族のエイダ、その従兄弟のリチャード・カーストンの後見人となり、「荒涼館」に招く。加えて、実母が分からず代母に育てられた若い女性、エスター・サマソンが、エイダの話し相手も兼ねて「荒涼館」にやってくる。彼女がドラマの中心である。

いかにも悪者然として登場するのが、弁護士のタルキングホーン、演じるのはイギリスの名優チャールズ・ダンス。彼の顧客が、チェズニー・ウォルドに住む上流階級のデッドロック家。当主はレスター・デッドロック、階級はbaronet、准男爵。その妻で、何やら謎いているのが、レディ(オノリア)・デッドロック。演じるのは、ジリアン・アンダーソン。私は見ていないが、ドラマ「Xーファイル」に出演し数々の賞を獲得しているほか、Netflix「ザ・クラウン」でサッチャー首相を演じ、エミー賞などを獲得した。

原作は1852−53年に書かれたが、描かれている時代は同時期、19世紀ヴィクトリア朝時代。舞台は、ロンドンと、上流階級が住むリーンカーンシャーなどの地方を行き来する。上流階級は、田舎に屋敷を持ち、ロンドンにタウンハウスを持つ。今でも、同じである。

社会問題がはびこり、ドラマには様々な階級の人が登場し、上記に加えておびただしい数の人物が重要な役割を担う。既に多くの横文字人名が登場し、嫌になった方もいるだろう。さらに、出てくるのかと思われるだろうが、我慢して見ていると、これらの一見無関係に見える人々が、見事につながっていく状況を楽しむことができる。もちろん、その途上には様々な伏線が仕込まれている。この展開が見事で、流石ディケンズの“代表作“という感じである。

第2話あたりまで見た時、これは漫然と見るのではなく、原作にもあたりながら楽しむべきだと考え、岩波文庫版「荒涼館」全四巻を入手し、ドラマの内容を追いかけるように、読み飛ばしていった。また、本の冒頭にある“主な登場人物“も、ガイドとして役に立った。

これが、とても楽しい体験だったので、次回にもう少し。作品の紹介と共に


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