立正安国論⑤【お祖師さまのおしえ】vol.14
【お祖師さまのおしえ】は、私がお祖師さま(日蓮聖人)の御遺文を少しずつ読んでいく過程を報告するコーナーです。
今回は「立正安国論⑤」です。(①~④はこちら)
参照しているのは、『昭和底本 日蓮聖人遺文』(日蓮教学研究所、改訂増補第三刷、2000年)と、『日蓮聖人全集 第一巻 宗義1』(春秋社、1992年)です。
さて、前回は、密教の儀式を行って祈りをささげたり、禅定修行をして空を悟ることによって、人々が苦しみから救われようとしている姿が語られていました。。
今回は、人々が苦しみから救われるために、どのような方法をとる様子が語られるでしょうか。
さっそく読んでみましょう。
若くは七鬼神の号を書して千門に押し、
若くは五大力の形を図して万戸に懸け、…
「七鬼神」というのは初めて聞きました。「七福神」の逆のような、ちょっと怖そうな名前ですね…実際調べてみると、疫病をもたらす7人の鬼神ということでした。
『仏説却温黄神呪経』というお経典のなかに、この7人の鬼神の名前を書き記した紙を門にかかげると、疫病封じとして大変効果がある、と説かれているそうです。
「千門に押し」と書いてありますので、疫病が流行して皆苦しんでいるなか、多くの家の門に「七鬼神」のお札が貼られていたのでしょうね。
さて次に、「五大力」というのが出てきました。これは、「五大力菩薩」のことだそうです。
「五大力菩薩」は仁王般若経に説かれる5人の菩薩で、中央・東・西・南・北にそれぞれ1人ずつ配置された姿が描かれるようです。
この五大力菩薩を描いた図を本尊として、100人の僧を招いて仁王般若経を読誦したり講義を行ったりする「仁王会」を開いたりもするようです。
以前にも「仁王会」について言及されている箇所を読みましたね。
仁王会はお寺で開催するものなのでしょうけれども、そのご本尊である五大力菩薩の描かれた掛け軸が、個人宅にもかかげられていたのですね。前半の「千門」に対応して、ここでは「万戸」と表現されています。多くの家に五大力菩薩の掛け軸があったのでしょう。
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今回の記事は以上になります。毎度のことですが、知らないことばかり出てきて、本当に勉強になります。
良かったら次回もお付き合いください。
それでは、また。
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