\あなたの「好き」をぶつけてください/ 入り江わにさん編「川柳」が好きすぎて  第1回:川柳はじめます。兎にも角にも五七五にしてみよう!
見出し画像

\あなたの「好き」をぶつけてください/ 入り江わにさん編「川柳」が好きすぎて  第1回:川柳はじめます。兎にも角にも五七五にしてみよう!

なかむらしょうこa.k.a.本屋しゃんの眼鏡越し。

人生は一度きり。
そう、一度きり。
だから、
たくさんの人と知り合いたいし、たくさんの場所に行きたいし、たくさんの本を読みたいし、いろんな食べものを口にしてみたいし、知らないスポーツに挑戦したいし、聴いたことの無い音楽に耳をすませたいし、似合わないはずのファッションにも挑戦したいし……と、なんとまあ欲が多い。

知らない世界をどんどん知りたい! と、日々、動くものの、やはり自分の興味関心、趣味嗜好の枠内からはみ出すのは難しい。

そこで、みなさんの「好き」を「好きなんじゃー」とぶつけていただこうと思い、「bosyu」を通じて、「好き」を募りました。

そこで、ライターで川柳人の入り江わにさんが「川柳」をやってみませんか?と誘ってくれました!ありがとうございます。

「川柳」……?
わたしの中で、川柳というと「サラリーマン川柳」は毎年おもしろいなあと感じている程度で、詠んだことはありません。「お〜いお茶」は川柳ではなくて、俳句か。と、こんな感じで知識も経験も皆無な領域。

しかし! 五七五でいろいろ表現ができるってすごいし、挑戦してみたい。さらに、上記の通りわたしにとっての川柳は「サラリーマン川柳」なので、きっと「笑い」の要素が大切だという印象が強かったので、詠むことそのものがとっても楽しそうじゃないか! と、2つ返事で、「川柳やりたいです!」とお返事しました。


画像4


川柳はじめます。

さあ、わにさんに教えていただきながら、川柳に挑戦するぞ!とスタート地点に立ったところで、わにさんから、まずは川柳の方向を決めよう!とご提案をいただくのですが……。

わにさん「私は第14回あなたが選ぶオタク川柳の神です。また、ぬまづ文芸で芸術祭賞(一位)、市長賞(二位)を受賞、そしてパピプペポ川柳でも賞をもらいました。文芸川柳、オタク川柳、パピプペポ川柳、どれでもオッケーですが、どういう方向の句がいいですか?」

わにさんのたくさんの受賞歴と川柳へのほとばしる愛に感動しつつ、川柳の「せ」の字もわかっていないわたしなので、それぞれの川柳の種類が一体なんなのかがわからない!そもそも「川柳」ってなんなんだろう。「サラリーマン川柳」と「お〜いお茶の俳句」。同じ五七五だけど、どこが違うのだろう?

なかむら「わにさん!!わたしは川柳に関しては、ど素人です。そもそも川柳とは?!という段階です。普段は本とアートに関する仕事をしているのですが、そんなわたしはどこから手をつけたらよいのでしょうか?!」

わにさん「なるほど。では、まずは、文を五七五にするところからはじめてみましょう」

なかむら「わかりました!まずは五七五にしていくところから練習ですね」

これは実践あるのみだな。まずは、頭でいろいろ考えたり、知識を詰め込む前に、とにかく五七五にすることに挑戦してみよう!

わにさん「今、なかむらさんのnoteの記事『冬の朝、あたたかい部屋。』を読みました。この文章を川柳にしてみましょう!」

先生、さすがです。そして感動です。いつの間に、わたしのnote記事を読んでくださったの〜〜〜。ありがとうございます。

なかむら「しかし、わにさん。こんな長〜い文をどうやって五七五にするのですか?」

わにさん「まず、この文章の最も刺さる部分は何なのかと考えます。

”ひとり、まだ、あたたまりきっていないリビングで、
そんな小さい頃を思い出しながら、母を想う。
今年のお正月は帰れないだろう。”
この部分がこの文章で一番刺さる部分だと感じました。

そこで、次にこの部分から、最も来る単語が何かを考えます。それは
「帰れない」ではないかと思いました。

さあ、最も刺さる文&単語の抽出が完了しました。では、抽出したての最も刺さる単語を冒頭に置いて、最も刺さる文章を五七五にしてみます。

帰れない ふるさとの母 雪の朝

どうかしら」

なかむら「す、すごい!!あの長〜い文章がたったの17文字におさまっちゃいました。それに、この記事で伝えたかった想いがギュッと凝縮されている。まさに、記事のコンセプトが可視化されていて驚きです」

わにさん「そうそう、なかむらさんには、オタク川柳に投稿させちゃおうかと思ってたけど、その方向ではないですね。文芸川柳が向いてますね」

画像2



「本」をお題に、五七五に挑戦してみよう

なかむら「適性を見ていただきありがとうございます!! 文芸川柳ですね。その前に、五七五に慣れるために、手はじめに一句詠んでみたいのですが、何かお題を出していただけないでしょうか」

わにさん「お題!やはり、ここは『本』でしょう」

なかむら「『本』ですね!詠んでみます。がんばるぞ〜!」

画像8

わたしの仕事にも絡めて、わたしにぴったりなお題を出してくださったわにさん。感謝!わにさんも絵本や川柳の本を刊行されています。



わにさん「詠む前に、少しヒントを。
川柳らしくするには、あまり人が気づかない面を取りあげるといいですよ。
わたしの母は小学校の司書をしていたので、『本』絡みで、司書をテーマに詠んでみますね。

卒業生 本を返せと 図書だより

人気本 補修するのも 司書仕事

とか、このように司書だからこそわかる状況や気持ちを詠むことで、川柳らしさが深まります」

なかむら「なるほど。確かに17文字の中に司書さんのお仕事の裏側や気持ちの深みがよく伝わってきます。そしてなんだかおもしろみがある」

なかむら「……本。……本。うぅ。本が好きなはずなのに、なかなか思いつかない。産みの苦しみ」

それから、なかむらは、筋トレをしながら、料理をしながら、トイレにこもりながら、湯船に浸りながら、自分の本棚とにらめっこしながら、川柳を考えた。ひねり出そうとしていたと表現する方が正しいかも……。たった17文字なはずなのに……。しかし、あーでもないこーでもない、あぁあ、できたと思ったのに字余りじゃないかあーーと創作の大変さを感じつつも、最近あまり動かしていないであろう脳の部分が活性化するのを楽しんだ。

ー1日後ー

なかむら「わにさん!できました!渾身の3句です。

読書時間 移動少なで 減少傾向
船を漕ぎ この1行が 永遠ループ
おはようと 棚に挨拶 書店員

あまり人が気づいていない部分を意識しながら、わかる人にはわかる『あるある』ネタっぽさを醸してみました。どうでしょうか……」

ドキドキドキドキ。

わにさん おはようと 棚に挨拶 書店員
これはいい!とてもいいです!
応募する価値ありです。



船を漕ぎ この1行が 永遠ループ
永遠は「とわ」と読ませる?そうじゃないと五七七ですね。

船を漕ぎ 永遠ループの 1行目
と順番を入れ替えるといいかもしれません。




読書時間 移動少なで 減少傾向
これは、おもしろいけれど六七八ですね。
自由律俳句としてもいいですが、リズムを揃えるのも川柳にとっては大切な練習なので、

通勤が 減って時間が 減る読書
と文字数とリズムをととのえるとよくなりますね。

と、川柳はこんな感じですよ~」



そう、考えていくうちに「文字数というルールを打破することもおもしろいのでは」と、ど素人のくせに、いらない好奇心を発揮し、字足らずや字余りの状態で提出。そりゃあ、バレますし、わにさんのおっしゃるとおり、まずは、基本を叩き込む!!ルールにのとって、ちゃんとリズムを揃えることが大切ですね。はじめから変化球ばかりでは上達しませぬ。



なかむら 「早速、丁寧な添削をありがとうございます。
順番を変えたり、リズムを整えたりするだけで、句の美しさ、臨場感、おもしろさがぐんと変わりますね。すごいなあ。リズミカルに読めることで、頭にスムースに入ってくる。ふむふむ、まずは、この川柳のリズム感を体得しなくちゃ。

それにしても、1句でも処女作を褒めていただけて嬉しいです〜」



川柳は①うがち ②かるみ ③おかしみ だ!

調子に乗ったなかむらは、お題をもらわずに、真冬の風呂上がりに一句詠んでみた。

なかむら 「わにさん!一句できました。

風呂上がり せんべい布団 雪恋し

いかがでしょう?!」

画像9


わにさん「ん〜〜。このままだと、『雪が恋しい』のか『せんべい布団と雪が恋しい』のかわかりづらいし、なぜ、せんべい布団で雪が恋しいのか、その理由がよくわからないです。

まずは単純に入れ替えてみましょう。

雪恋し せんべい布団 風呂上がり

リズムはよくなったかもしれないですが、まだ通じにくいですよね。
お風呂に入ってから布団に入るという順番も崩れてしまいます。

『布団の冷たさに雪を想った』という解釈で手を入れてみると

風呂上がり 冷えた布団に 想う雪

はいかがでしょうか。17文字の世界なので、何かを入れるには何かを切り捨てなければいけません。本当は色々な思いが詰まった語だろうと思うけれど『せんべい布団』を削りました。そして、下五は「雪恋し」でもいいのですが、なかむらさんが雪国出身であること、母が布団を干していてくれたことなど、背景や思い出は、句からはわからないので、名詞で止めて(体言止め)、『雪』に焦点が集まるようにしてみました」


なかむら「そうですね。
確かに、読者はわたしの出身地はもとい、母との思い出は知る由もないですものね。自分の背景を知ってもらっているということありきで書いてしまって良くなかったです。しかし、語の順番を変えたり、潔く言葉を捨ててみたりするとぐっと印象が変わり、わたしの背景を知らない人にも、わたしの気持ちを伝えることができる句になり感動です!

すごいなあ。五七五の宇宙おそるべしです。

このような情緒的な句は、川柳というより俳句に近いのでしょうか。
川柳は、どこか笑いの要素があるイメージがあります」


わにさん「そうですね。これは俳句に近いです。
しかし、川柳でも、公募川柳は笑いがあると有利ですが、
文芸川柳では、①うがち ②かるみ ③おかしみと言って

まずは、新鮮な視点であること(①うがち
それを気取らずさらりと言っていること(②かるみ
そして、笑いは付随してついてくるもの(③おかしみ
という原則があります。

これは、とある小学生の句で、公募川柳です。

天ぷらを 揚げてるときは 全集中

続いてこちらは、大人の文芸川柳。

にっぽんの祈りの形にぎりめし

さらに付け加えると、文芸川柳は基本的に、分かち書きをしません。
こんな感じで、一行に空欄なしで書きます。

悲しみの海花束が沈まない

ここに例として挙げさせていただいた句は、全て誰かが詠んだ句で、わたしがお気に入りの句です。川柳上達への道のひとつとして、好きな句を集めて記録しておくのも方法はとても有効ですよ」

なかむら「ありがとうございます!①うがち ②かるみ ③おかしみ ですね。
川柳を詠むことを習慣化すると、日常を新しい視点でみることができるようになりそうです。まずは、川柳のリズムを体に刻んで、この3つの軸を意識したいと思います。

お気に入りの句か〜。「まねぶ」ことも大切ですものね。
今まで、川柳を探したこともなかったので、お気に入りの句に出会うためにも、意識して川柳探しをしようと思います!」

わにさん「ちょうど、『公募ガイド 2021年2月号』(公募ガイド社)が発売されました。ここには川柳をはじめとする公募がたくさん紹介されているとともに、この号では、わたしの川柳の師である、水野タケシさんが川柳の基礎をトレーニングしてくれる特集が掲載されています。入門として手に取ってみるのもいいかもしれませんよ」

なかむら「はい!早速本屋さんに行ってきま〜す」

画像1


こうして、なかむらは、わにさんに「川柳をしてみませんか?」と誘っていただいたことで、わにさんの好きをおすそ分けしてもらい、「川柳」という未知の世界へ散歩することになりました。

目指せ、公募に応募!!

画像8




つづく。
次回は、わにさんの川柳愛に土足でお邪魔しながら、川柳とは何か?という原点に立ち戻り、川柳への理解をますます深めるぞ。




プロフィール

入り江わに(いりえ・わに)
オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!
オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
川柳の流派はないが、仲畑流万能川柳の水野タケシ氏を師匠と崇めているので多分仲畑流の末席。
川柳を始めたのは昔事故で右手を故障してイラストが描けなくなったのがきっかけという中々ハードな人生を送っている。
過去絵のTシャツ販売サイトあり。

オタクと川柳のサイト
otabun.net

Tシャツ販売サイト
suzuri.jp/banawani

イリエワニ



中村翔子(なかむら・しょうこ)
本屋しゃん/フリーランス企画家・文筆
1987年新潟生まれ。本とアートを軸にトークイベントやワークショップを企画。青山ブックセンター・青山ブックスクールでのイベント企画担当、銀座 蔦屋書店 アートコンシェルジュを経て、2019年春にフリーランス「本屋しゃん」宣言。同時に下北沢のBOOK SHOP TRAVELLERを間借りし、「本屋しゃんの本屋さん」の運営をはじめる。千葉市美術館のミュージアムショップ BATICAの選書、棚作り担当。本好きとアート好きの架け橋になりたい。バナナ好き。本屋しゃんの似顔絵とロゴはアーティスト牛木匡憲さんに描いていただきました。
https://honyashan.com/

画像7



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
なかむらしょうこa.k.a.本屋しゃんの眼鏡越し。

いつも読んでいただきありがとうございます。この出会いに心から感謝です!サポートをはげみに、みなさまに楽しい時間と言葉をお届けできるようがんばります。

BE HAPPY!!!
なかむらしょうこa.k.a.本屋しゃんの眼鏡越し。
本好きな人とアートが好きな人ってきっとつながると思うの。だから、本が好きな人に見てほしい展覧会、アートが好きな人にオススメしたい本を紹介したい。だけど、わたしは批評家でも評論家でもないから「日記」として綴ろうと思う。きっと体験の周辺も大切。あくまでも、わたしの眼鏡越しなんだけど。