なにを言ってるのかさっぱりわからない文
全ての人に誤解がないように、誰にでもわかるように書こう書こうとすると、文章というものはみるみる面白くなくなるから困ったものである。
でも誤解しないでほしいのだが…と書いて、あっ、それは今からこれも面白くない文章になっていくってことか?と思ったが、多分違うと思う。思いたい。
この道すべるから気をつけてと言ったそばから自分がステーンとすべって恥をかくアレだったらどうしよう。
もういいや。
誤解しないでほしいのだが、わかる人がわかればいい、というスタンスで書いた文章が、必ずしもおもしろいわけでもない。
書いた本人とその母親しか意味のわからない自伝的小説の原稿を押し付けられて、わかる人にはわかると勝手にわかる人チームに入れられた私が大変面倒なことに巻き込まれたのはまだナマナマしいので詳細は書けないが、できれば三親等あたりまでわかる文章を心がけて欲しい。こちらもがんばるから…。
だが、そんな例はごく稀で、現代の日本人が書いた一般流通している小説を読んで、なにを言ってるのかさっぱりわからなかったことはほとんどない。
暗喩があったって、読者の想像に任せて書かない部分があったって、ちゃんと面白さは損なわないようにプロが編集しているから、そうわかりにくくはないはずなのだ。
ところが、私はあるジャンルの文を読んで「マジなに言ってるか全然わかんねぇ」というお手上げ状態になることがある。
歴史時代小説だ。
たびたび文章に登場する男性の名前が、なんとか兵衛とかなんとか左衛門ばかりで、別れた男の名前も本気で思い出せない私には、到底覚えることなどできない。
すると誰がえらくて誰が誰と血縁関係で…という基本的なことが把握できず、なにが起きているのかさっぱりわからなくなる。
そして、これはもはや文章云々ではないのだが、姫様の美貌が現代でいうおてもやんだとなんべん教わっても、やっぱり柴咲コウみたいなシュッとした顔が美人だと私は思うし、自分のような鼻ぺちゃ下膨れの顔をしたおなごが、自分を美人だと思って振舞っているのを見ると、なんだかムカついて仕方がない。(同族嫌悪?)
誤解しないでほしいのだが、こういう人間にレベルを合わせて小説を作る必要は、全くもってない。私は私なりに、数は少ないけれど面白いと思える歴史時代小説を探せるし、それを続けて10年後にはスキルアップしているかもしれない。
とりあえず今は、なにを言っているのかさっぱりわからない私を私が面白がっているので、放っておいて大丈夫だ。
(絵:まんしゅうきつこ)
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