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日めくり文庫本【10月】

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記事一覧

『銀座アルプス』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月1日】  ベルリンの下宿はノーレンドルフの辻に近いガイスベルク街にあって、年老い…

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『真の独立への道』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月2日】 読 者 あなたのおっしゃっていることによれば、サッティヤーグラハの例は歴…

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『マジメとフマジメの間』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月3日】 自作を歩く『肉弾』静岡県浜岡町・浜岡砂丘  一九六七年、〈日本のいちばん…

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『ルールズ・オブ・アトラクション』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月4日】ポール 俺のぼろラジオが、朝の七時に突然鳴り出して眠れなくなった。ベッドか…

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『ナジャ』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月5日】十月五日。——ナジャのほうが先に、早く来ている。もうきのうの彼女ではない。…

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『伽藍が白かったとき』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月6日】 中世伽藍が白かったとき、ヨーロッパは、真新しく奇跡的で気違いじみて向う見…

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『天皇の世紀』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月7日】 西郷吉之助が勝安房守を初めて訪問した時に、勝は幕府の役人を存分にきびしく批判した後に、強力な藩の大名に参加を求めて「明賢諸国四、五名の会」に依る衆議を採り国論を決すべきだと説いて、素直な談話に西郷を仰天するほど驚かしめた。西郷はこれを「共和政治」という呼び方をして大久保一蔵に知らせてやった。付添っていた坂本竜馬が勝の平素の議論を聞いていない筈がない。雄藩連合の発想の芽は、ここにも潜んでいた。また竜馬が海軍塾の資金を借りに越前へ赴いた時に横井小楠にも接触する機会

『シネマの快楽』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月8日】明晰な「謎解き」 武満 ぼくは、とても好きです、この映画は。二度見て、二度…

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『四季をめぐる51のプロポ』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月9日】 占い  この美しい秋のはじめ、寒波がまた突然やってくるのではないかと思わ…

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『ポートレイト・イン・ジャズ』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月10日】  濃いブラック・コーヒーと、吸いがらでいっぱいになった灰皿と、JBLの…

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『わたしを離さないで』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月11日】第六章  ともあれ、わたしがテープを人目にさらしたくなかった理由はタバコ…

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『五輪書』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月12日】空の巻 二刀一流の兵法の道、空の巻として書顕はす事、空といふ心は、物毎の…

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『ことばの歳時記』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月13日】物のあはれ  秋というと、平安王朝の貴紳、淑女たちは、「物のあはれ」を身…

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『菜根譚』 – 日めくり文庫本【10月】

【10月14日】菜根譚後集 六三  古徳云う、「竹影、階を掃うも塵動かず、月輪、沼を穿つも水に痕なし」と。 吾が儒云う、「水流、急に任せて、境常に静かなり、花落つること頻なりと雖も意自か閒なり」と。人常に此の意を持して、以て事に応じ物に接すれば、身心何等の自在ぞ。  昔の名僧も言っているが、「風に吹かれて竹の揺れる影が、しきりにきざはしを掃くが、(もとより影であるから)、きざはしの塵は少しも動かない。月の光が、(沼の底まで達して)、沼を穿っているようであるが、(もとより月