『天皇の世紀』 – 日めくり文庫本【10月】
【10月7日】 西郷吉之助が勝安房守を初めて訪問した時に、勝は幕府の役人を存分にきびしく批判した後に、強力な藩の大名に参加を求めて「明賢諸国四、五名の会」に依る衆議を採り国論を決すべきだと説いて、素直な談話に西郷を仰天するほど驚かしめた。西郷はこれを「共和政治」という呼び方をして大久保一蔵に知らせてやった。付添っていた坂本竜馬が勝の平素の議論を聞いていない筈がない。雄藩連合の発想の芽は、ここにも潜んでいた。また竜馬が海軍塾の資金を借りに越前へ赴いた時に横井小楠にも接触する機会