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1月に読んだ本

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作・サーシャ・フィリペンコ 訳・名倉有里 『赤い十字』

今年の年賀状で、学生時代の恩師に薦められた本。
読んでいて辛くなるところもあったが、最後まで一気に読んだ。
訳者の奈倉有里さんの翻訳が本当にすばらしかった。

29歳の青年サーシャが引っ越し先に選んだミンスクのアパート。
その新しい隣人は、タチヤーナという90歳の老女だった。
ドアに十字の印をつける彼女にはアルツハイマー病で短期記憶に障害があり、
唐突にサーシャに自らの人生の体験を語り出す。
すべてを忘れないため、忘れられないようにするため……

https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/akaijuji/

集英社『赤い十字』公式サイト


奈倉有里『ことばの白地図を歩く』

『赤い十字』の翻訳と訳者解説がとてもわかりやすくてよかったので、訳者の名倉有里さんの本を。
言語を学ぶことの楽しさとよろこびが瑞々しく書かれていた。

作・ミロスラフ・ペンコフ 訳・藤井光 『西欧の東』

作者はブルガリアの出身。

『レーニン買います』という、レーニンを信奉する祖父とアメリカに留学している孫との話が面白かった。
映画になったという『ユキの写真』を読んで、作者の近しい人に日本人がいるのではと感じたが、やはり作者の妻は日本人らしい。

津村記久子『現代生活独習ノート』

短編小説集。

「牢名主」という短編の中に

「わたしここではピノって名乗ってて、いやアイスのピノじゃなくて自転車の選手にティボ・ピノっていう人がいるからなんです。」

「牢名主」

というセリフが出てくる。
ティボ・ピノは去年引退したフランスの自転車選手。
みんな弱くて強いピノのことが大好きだった。
作中のピノさんの本名は日野さん。

ニック・ドルナソ『サブリナ』

奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を』

前述のロシア文学者、奈倉さんの本を引き続き読んだ。
名倉さんがロシアの大学に留学していた頃のことが書かれている。
とてもいい本だった。
終盤はラブレターとして読んだ。愛の定義は広いので。

津村記久子『まぬけなこよみ』

暦にちなんだエッセイ集。

「イゴール・アントンと心の役割のこと」というエッセイが収録されている。胸にぐっとくるいいエッセイだった。


作・リュドミラ・ウリツカヤ 訳・奈倉有里 『陽気なお葬式』

幸田文『幸田文対話』

森鴎外の娘である小堀杏奴が「でもわたし、露伴の奥さんになるのは恐くていやよ」とか言い出す。
はっきり言いすぎ。

幸田文「娘だってそうよ」

「そうはいっても、亡くなったせいか、よそのお父さんととりかえようとは思わないわ。」と言っていたのがなんかよかった。


サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』


『赤い十字』と同じ作者。ベラルーシ出身。

10年の昏睡から目を覚ますと、そこは独裁国家だった。という話。
この本はベラルーシでは発禁になっているという。
訳者あとがきを読んで、現在のベラルーシがこの本と同じような、むしろさらに酷い状況にあると知る…。
世話焼きで口うるさいばあちゃんと、おめーバカだろって言い合える主人公の唯一の友人スタースが好きだった。

ベラルーシ出身の元自転車選手、キリエンカさんは元気にしているだろうか。

松本大洋『東京ヒゴロ』

久しぶりの松本大洋。しびれた。買わずにいたことを後悔した。

著・マックス・レオナルド 訳・安達眞弓 『敗者たちのツール・ド・フランス ~ランタン・ルージュ~』


ツール・ド・フランスの最下位、「ランタン・ルージュ」を追った本。

作者がエタップ・デュ・ツールを棄権したところから始まり、そのコースを走りきったところで終わる。

シェーンバッハーの章が面白かった。1980年にあったという、最下位失格ルール鬼すぎる。

FDJのマルク・マディオ監督はランタンルージュが嫌いらしい。

ピュイドドームの章、ちょうどこの山を去年のツールドフランスで登っていたので景色が目に浮かんだ。
かつて、この山で熱戦を繰り広げた、ジャック・アンクティルと、レイモンド・プリドール。
アンティクルが死の床でプリドールに「ガンとの闘いは一日中ピュイドドームを登り続けるようなものだ」と言ったというのが切ない。

三宅寛『ツール・ド・フランスを追いかけて』

去年、自転車ライターの小俣雄風太さんの個展に行ったときにパンフレットで紹介されていた本。

いい写真がたくさんあった。
選手でもなんでない、一般の人が自転車に乗っている写真も素敵だった。
三宅さんは犬にメルクスという名前をつけていたらしい。
いい名前。メルちゃん。

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