何かを取り戻したい人へ
みんなの図書館「本と一筆」に登録してくださっている本棚オーナーさんの棚から一冊取り上げてみるコーナー。みんなの図書館「本と一筆」の運営メンバーが本の感想や感じたことを書いていきます。
最初の本は、
絵本は普段読まないですが、絵の雰囲気が好きだったので手にとって読んでみました。
柔らかくて穏やかな絵に癒される一方で、自分のあり方を問われているような、はっとさせられるような問いを語りかけてくれます。
これだ!とすぐに答えられるものもあれば、じっくり考えると答えられるものもある。
そのなかでも、
雨の雫をいっぱい溜めたクモの巣をみたことがありますか。
という質問は、あの感動を著者と分かち合えた感覚があり、嬉しい気持ちになりました。
雨上がりのお茶畑で作業をしていた時、通り道の目の前にクモの巣がありました。雫がキラキラと輝いていて、生き物が生み出す美しさに感動したことを覚えています。
そうした日常の感動は、つい写真に収めたくなる。
でもカメラを通すとその感動はなくなり、いかに綺麗に撮るかという考えに変わってしまいます。
写真を綺麗に撮れたとしても、この目でみた光景のままには決してならない。
その時その瞬間の感動を味わおうとしていない感覚があって、スマホをポッケにしまったことを思い出しました。
写真に収めるとその光景の濃度が薄まってしまうこと、ありませんか?
感動した瞬間は、写真ではなく身体で感じたそのままの感覚として愛でたいこともある。
私たちは言葉のある世界で生きていて、言葉がもつ素晴らしさをたくさん感じて生きています。
でも自然界のように言葉を使わないほうが伝わることもこの世界にはたくさんあるし、こんな時代だからこそ、本来の人間性のようなものを取り戻すことがとても重要になってくるのではないかと思っています。
この本は、そんなことを考えるきっかけになりました。
忙しなく目の前のことに振り回されがちな日々ですが、何か大切なことを見落として過ごしているのかもしれないと感じている人には、ぜひ読んでみてほしいです。
「本と一筆」に来館してくださる人たちとも、それぞれの質問について語ってみたい本でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
読んでくださった方にとって、何かしら感じていただけたら幸いです。
投稿者:馬場みなみ
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