わたしが本屋大賞に投票した本たち

2024年本屋大賞のノミネート作が発表された。

この10作品の中から大賞が決まり、4月10日に発表される。

そもそも本屋大賞はどうやって決められるかというと、書店員の一次投票、二次投票によって決まる。
一次投票では2022年の12月〜2023年の11月に発売された新刊の中から、ベスト3を選んで投票する。
それで選ばれたのがこのノミネート作。
二次投票ではノミネート作からベスト3を選んで投票。
一番票を獲得した作品が大賞となる。

わたしが一次投票でベスト3に選んだものは、全部ノミネートされなかった。かなしい。

だけどもちろんノミネートされなくても、ものすごくおもしろくて良い本なのでここで紹介させてほしい。


まずは3位に投票した本。
阿津川辰海さん『午後のチャイムが鳴るまでは』。

九十九ヶ丘高校のある日の昼休みを舞台にした連作短編小説。
帯に「こいつら、最高すぎる!」のコピーがあるけど、本当に最高なんだよ。
とくに1話目の『RUN!ラーメンRUN!』がかなり好き。
昼休みに学校を抜け出してラーメンを食べにいく男子生徒二人の話で、くだらないことに全力を注ぐ高校生たちが愛おしくてたまらない。
他の話もすべて繋がっていて、ミステリーとしての完成度も高い。
普段心にずっしり来るような重い作品ばかり読みがちなので読み終わった後に、こういうの!こういうのが読みたかったんだよ!!と思った。
小難しいこととか何も考えず、ただ楽しんで読める小説に久しぶりに出会えて感動したので、3位に選んだ。


次は2位に投票した本。
古内一絵さん『百年の子』。

児童向けの学年誌の歴史を、昭和から令和まで追う物語。
学年誌は今でこそ本当に数が少なくなってしまったけど、今も昔もたくさんの子どもたちの心を掴んで離さない。
そこには出版社の努力や、挫折、そしてたくさんの人たちが紡いできた歴史があった。
負の歴史ですらも正面から書いている本作は、出版史に残すべき傑作だと思う。
もっと評価された方がいいし、もっと話題になった方がいいと思ったので投票した。

そして1位に投票した作品。
逢坂冬馬さん『歌われなかった海賊へ』。

作家さんにお会いしたとき「わたし絶対この作品本屋大賞に投票します」と宣言したくらい、プルーフを読んだときから絶対に投票すると決めていた。
ナチス体制下のドイツで、少年少女たちが自由を求めて生きる物語。
詳しい感想は前にも書いたので貼っておく。

ノミネートされなかったことに1番納得がいってない。
正直絶対に入ると思っていたし、個人的には本屋大賞を受賞した前作『同志少女よ敵を撃て』よりも好きだった。
2023年に読んだ本の中で1番よかった。
11位くらいに入ってるのかな。
わたしが投票した本、いつも11位に入りがち。
この作品に出てくる少年少女たちの自分を貫く情熱とか、優しさとか、とくに子どもたちや若い人に読んでほしいと思って投票した。

書店員は毎年いろんな思いや考えを込めて、投票に臨んでいる。
もちろんノミネートされた10作品も素晴らしいけど、それ以外の作品も素晴らしいということはどうか知っておいてほしい。

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