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平成生まれと平成くん

 「平成くん、さようなら」を読み終えました。私的にはすごいスピードで読み終えた。普段は本当に読みはじめが遅いんだけど、これは一気に引き込まれる。

 古市さんテレビのコメント面白いしまあ読んでみっか、くらいの浅い知識で読み始めたのを誰かに謝りたいほど私は面白いと思いました。あらすじは例により説明しません。

 多分私に刺さってるのが、登場人物の平成くんがファッショニスタなところ。ファッショニスタというか、ハイブランドをあれこれ組み合わせて着ていて、しかもそのブランドやアイテムもめちゃめちゃ今っぽい。今この時代に読むから面白いし、未来に読み返してもあの時あの服流行ってたな、と思える、ある意味歴史的な資料感がある。わかる、わかるわ、自分が男で身長そのくらいあったらそのブランド着てまうわ、と思う感じ(笑)

 登場人物の設定とか、着てるものとか、やってることって全部全部今っぽい。平成ってこうで令和ってこうで、今ってこうよね、という設定と、「生と死」というテーマが側にある作品で、これはあれ、ネタバレ?
 話題は今っぽいのに本質は哲学的な内容で、だから私は面白いと思ったと思うんです。哲学が今っぽくないとかそういう話ではなく。今っぽい、と言う単語には雑多な感じとか、ごちゃついている感じとかがあって世俗的で、真面目な感じよりはくだけた感じを想像させる単語だけれども、そのテーマの横にぴったりと張り付いている死生観みたいなものが途端にストーリーを学問的にさせるというか、そういう印象を受けました。語彙力が無い自分が惨めです。伝わっているといいなと心から思います(笑)

 そしてnoteの冒頭に言った通り本当に読みやすい。理解しづらい言い回しが無く、無駄な状況説明もなく、一度読めばすっと頭に入って理解が出来るような、そういう感覚です。私がnoteで紹介してる本の良いところ、いつもこの「読みやすさ」がランクインしているね。毎回同じことを言っている気がするわ。

 私が平成生まれだから、この作品がグッとくるというのも必ずあると思います。平成生まれの私たちも今までと同様大きなくくりに入れられて、ゆとりとかさとりとか言われてレッテルを貼られ、平成くんがその世代の代表になるような生き方を送ってきました。平成くんは私たちの生きた平成を具現化したような存在(もちろん平成くんは時代の先端に生きる人なので私はこんなにレベル高くない)。

 また数年後にこれを読み返したとき、あの時こうだったな、と思えるような、歴史の教科書のような小説でした。それこそ本を読みたい人で、読書初心者さんとか、本を読みたいけど集中力が続かない人にオススメしたいです。



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