見出し画像

【選んで無職日記37】サイン会に向いていないファン

2024/8/24

 今日は人生で初めてサイン会に行った。書かずにはいられない羞恥心があるので、もはやさらけ出すことで成敗したい。

 地元の友達と一緒にサイン会に行った。K-POPアイドルのサイン会で、車で30分走れば着く会場での開催だ。
 そのグループは最推しというわけではないのだが、ここ最近気になる存在で、たまたま応募したら抽選に当たってしまった。

 私は高校生くらいの頃から少女時代にハマり、そこからもう10年以上K-POPを聞いている。諸先輩方がいらっしゃるので大きな顔は出来ないが、流行っている曲やグループならほとんど知っているし、自ら名乗るのはどうかとも思うが古参だとは思う。特定の人やグループを推したことはほとんどなく、基本パフォーマンスや楽曲を楽しむスタンスで色んな曲を聞いていた。もちろん気に入っているグループはあるが,、それもいわゆる”箱推し”である。

 そんな私が一人の人にサインを書いてもらうということで、そもそもサイン会のマナーなども知らないのでネットをあさると、大体3~4会話出来そうということと、それ以外は特にライブなどもなくさらっと終わりそうなので安心していたのが昨日だ。
 私は正直、推しに会いたいとか、推しと接触したいという感情がほかの人より薄いと思う。実際にライブに行くと第一感想が「うわ~生きてる~」だ。それまで映像で見ていた人たちが急に3Dになると、"存在している"という事実がドンと目の前に突き付けられ、同じ世界線に生きてしまっているということに何故か辛さを感じる。憧れの人に会えた喜びよりも、「こんな私が会えてしまった」という感情の方が大きいのだ。なんてダルいファンだ。
 とにかくそんななので、サイン会で一対一で話せたとしても、正直話したいことがなかった。聞きたいこともないし、本人にやってほしいこともない。せっかくのチャンスに自分の性格が向いていなさ過ぎる。とりあえず、人生で初めてサイン会に来たことは伝えたいのと、あとはこれからも応援しているので頑張ってくださいという素直な気持ちは伝えたいなと思いながら寝た。

 そして今日、友人と合流し、会場に向かった。着くと外にはファンらしき女性の姿が沢山あり、集合時間当たりで会場前にならばされた。抽選が当たったメンバーの列に並び、当選メールと身分証明書を提示する。これを確認してもらうまでに30分かかった。
 その後実際に会場のアリーナに入り、メンバーの挨拶を待つまでになんと1時間30分。馬鹿みたいに長い時間だった。会場は冷房も強くは効いておらず、事前に購入しておいたハンディファンが活躍したものの、ずっと立っていられなくて床に座って時間をやり過ごした(もう私はディズニーランドで並び待ち出来ないと思う)。
 推しに会うのにこんなに待たなあかんのか、わしそこまでノリノリで来たわけじゃないんだけど、と頭の中でブツブツつぶやいた。勿論実際に近くで会ってみたい人ではあるけれども、機会がないなら別にいい。今後もライブに参戦させてもらって、舞台で輝いている姿が見れたらそれがいい。つくづく私はこういった接触イベントに向いていないなと思った。
 いよいよメンバーがファンの前で挨拶するために出てきたときは、皆顔ちっさ!と思った。私は顔の小さい人への憧れが強く、有名人を見ると顔が小さくびっくりしすぎてそこばかり見てしまう。顔小さいのと、あとまだあどけない少年だな~と思った。今までは私より年上のお兄さんたちが応援対象だったのにな・・・いつからこうなっちゃったんだろうな・・・最近生まれた顔してんじゃん・・・昨日だよこれ、昨日生まれたよ・・・。

 軽い挨拶が終わった後、抽選が当たったメンバーの列に並ばされ、いよいよ実際のサイン会が始まる。
 私は前から30人くらいのところで待っていたので、列もするする進んだ。カバンを置いて、整理券を渡し、いざ対面。

 ・・・ここからの記憶が馬鹿みたいに曖昧なのと、書いているだけでも恥ずかしいのだが頑張る。まずはやっぱり「え、生きてる」という感覚。そして今までで一番至近距離過ぎる。「近」という感想。
 最初に何話せばいいんだろう、ってか、なんか話しかけてくれたりする?と淡い期待を抱くも、彼のいる机の前に立った時にはすでに私の名前をサインしてくれていて、もう彼にはやることがなかった。
 え、サインもう書き終わってる、とりあえず何か話さなくては、と「人生で初めてサイン会来ました」と伝えると「はい」・・・話終わった~?????????????予定と違うなあ~もうちょっと盛り上がってくれないかなあ~~~~~でもなんかもうこっちがつなげるしかないよなあ~~~~~~~~と思い、「めっちゃ応援してます、頑張ってください」「はい」っっっっっっっっっっええええん終わったあ~~~~~~これでもう終わりじゃなかったっけ私の時間の感覚で言うと終わりなんですけどおわんないんですねええええ「・・・え~何話せばいいんだろ!え~」・・・沈黙~~~~~~~~~ごめん~~~~~~ネタを用意してなくてごめん~~~~~~~~~~それで痺れを切らした(?)向こうが「金髪かわいいですね」っっっっっっっっええん「えっ嬉しいじゃあもう少し続けてみます」・・・・・・聞いてねえよね~~~~~~~~ごめんねえ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!
 ここでもはや本当にすることがなくなっちゃって、まさかのスタッフさんの方を見る私。そしてもうサインください、とばかりにこちらから手を出してサインをもらった。最後にもう一度「めっちゃ応援してます、頑張ってください」といらねえ同じ文章を伝えて、そそくさと後にした。

 オワタ。詰みです。そしてサイン会もう二度と行かない。私が悪い。これ皆何話してんの?時間足りないくらい話すことって何?
 会場を後にした私は友人と合流。違うメンバーにサインをもらった友人は、推しに名前を呼んでもらったりしたみたいで十分楽しめたようだった。
 ・・・わしの数分なんだったんだ。A君(仮名)ほんmoneyごめん。私が悪いです。

 帰りの車で私がぎゃいぎゃい恥ずかしい、恥ずかしい!と喚いていると、友人が「大丈夫だって、もうあんたのこと忘れてるよ、だってこれ200回やってんだよ?もう覚えてないって!」とずばっと言ってくれて助かった。彼女がいなかったら途方に暮れながら車を家まで走らせていたと思う。
 そうだ私はしがない一塊のケーポペンなんだ。いい経験させてもらったよ。今後は遠くから応援します。まじでありがとうA君。顔小さいしバランスが整ってて、アイドルって感じでした。
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?