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【選んで無職日記77】生きてうつくしいこころで

2024/10/1

 昼に食べるように肉じゃがを作ろうと、九時過ぎに起きたてのままキッチンに立ったが、煮込んだ後に味見すると、にんじんもお肉もかたくて悲しくなった。夫に相談して、水が足りなさそうなので少し足し、弱火で二十分以上煮込むと味が染みて美味しくなったが、満足出来ない仕上がりになってしまいちょっと残念に思う。
 昼食になるまで、『落下の解剖学』を観る。こういうオチの映画は割と好きだ。

 昼ご飯を食べた後、車を出して一人で北海道神宮に行った。神宮の駐車場に車を停め、携帯電話は車内に置いたまま中へ入る。
 鳥居の前で一例するとき、厳かな気分になる。天気が良くて、肩を焼くような太陽の熱さを受けながら神宮への道のりを歩む。砂利道のじゃりじゃり、という音を聞きながら振り返ると、第二鳥居から続く一本道が日光に照らされて綺麗だった。
 いつもはスキップする手水舎も今日は試してみる。柄杓がないのでそのまま手を洗った。
 神門を通って拝殿に進む途中、沢山の外国人観光客がいた。もはや地元の人の方が少ないのではないかと思うほどだ。
 拝殿でお参りして、ぐるっとまわって開拓神社にも初めてお参りする。向かう途中、色んな人とすれ違った。観光客は勿論、散歩に来ている人や、一人でお参りに来ている人、子供連れも沢山いたし、七五三の恰好をした家族もいた。

 開拓神社でお参りし、戻る途中の神門前に木のベンチがあったので座ってみた。上を仰ぐと、緑色の小さな葉が重ならないようにそれぞれ広がって一つの円を作っていて、とてもきれいだから写生したいなと思った。
 私はここ数日の間、スケッチブックをどこかで購入しなければと思っている。元々絵を描くのが好きだが、白い紙に鉛筆でデッサンするのが割と好きだ。鉛筆は2Bなどの濃いものが好きで、鉛筆の芯が滑らかに擦れていき、画用紙の小さな凹に埋まっていく感覚が心地いい。
 こういう時に携帯電話のカメラではなく、さっとスケッチブックを取り出して絵で残せるようになったらいいなと思った。

 駐車場に戻る道のりで、ここでしか買えないおもちを二個買った。『判官さま』という名前の六花亭のお菓子で、六花亭 神宮茶屋店でしか販売されていない。そば粉入りのやわらかいお餅の中に甘さ控えめのこしあんが入っていて、お餅があまり得意ではない私がここに来るとよく食べるものだ。
 二つ持ち帰りでお願いします、とレジで伝えると、お持ち帰りされたことありますか?と聞かれた。ないと答えると、十分から十五分でかたくなってしまうのでお早めにどうぞと言われる。
 車に戻り、紙袋に入った二つのお餅を持ってきたカーディガンで包む。家に帰り部屋で開けるとまだ温かかった。
 神様からのおすそ分け、と言って夫に渡した。


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