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就職活動を始める前に大切なこと 素直さ

素直さとは「他人の言うことを、逆らわずに受け入れる様子。」と、新明解国語辞典(三省堂)にあります。

自分は自分に甘いものです。ですから、まだ出来ることであっても、「もうこの辺で楽すればよいのではないか」と、成長を止めてしまうことがあります。その時、さらに成長を続けるためには他人の目が必要です。

自分から見れば満足であったことも、他人から見れば「この人はまだ上に行ける!」と映る。このギャップを埋めることが、さらなる成長につながるのだと思います。人は自分の背中を自分の目で見ることはできません。それと同じで、他人の方が自分に対しては良く見えているものなのです。だからこそ、「他人は自分より、自分についてよく見えているんだな」と思って、他人のアドバイスを受け入れる素直さが必要だと思います。

もちろん、道義的に反しているものについては、断固として受け入れない姿勢が必要です。しかし、そうではないのであれば、先ずは一旦他人のアドバイスを受け入れてみてはどうでしょうか。

よく「こうすればいいんじゃないの?」「こんなことチャレンジしてみなよ!」と言われて、「いや私には無理です」という大人がいます。ここで「そうだなやってみよう!」と思う人との差が、社会に出てからの成長の差だと思います。それに「無理です」と言って、無理な理由を並べ続ける人には、もう二度とアドバイスをしようとは思わないでしょう。

就職活動でもそうです。OB訪問だけでなく、友達に指摘された事でも、アドバイスには感謝しましょう。感謝するだけではだめです。実行しましょう。

ここまで言っても、人は自分がかわいいもの。なかなか他人のアドバイスを受け入れようとはしません。だからこそ、少しでも他人のアドバイスを受け入れれば、それだけでも有利になるのです。せめて、2つ言われたら1つは従ってみるべきだと思います。それ以外に成長はないと思います。他人は自分の鏡なのです。

この事をもっともよく表している書物として『代表的日本人』(内村鑑三著 岩波文庫)を紹介したいと思います。この中で二宮尊徳のエピソードが載っています。

二宮尊徳は江戸時代の農業の大家です。彼の少年期は苦しいものでした。親が16歳で亡くなり、叔父のもとに引き取られます。そこで、一生懸命仕事に励み、孔子の『大学』と言う本を購入し、全仕事を終えた深夜に熱心に勉強に励みます。すると、叔父から「貴重な灯油を使うとは何事か!」とこっぴどく叱られます。そこで、尊徳は自分で菜種を作り、油に代えて灯をともし勉強します。それでも、叔父は許しません。「おれが面倒を見てやっているんだから、お前の時間はおれのものだ。読書のような無駄な事をするな!」と叱られます。尊徳がすごいのは「叔父の言うことは当然だ」と思った事です。尊徳は叔父の家の為に、毎日干し草や薪を取りに行く道中で勉強をするようになりました(学校にある二宮尊徳の銅像がこれです)。さらに、洪水で沼地と化したところを開墾し、農民が捨てた苗でコメを育て、ついに自立して生計を立てるまでになるのです。

この例はあまりにも極端ですが、私にとって、素直さとはどういうことかを教えてくれました。どんな理不尽に見えることでも、実は他人の目には正しい部分があるのです。だからこそ、人に言われたアドバイスを「自分の方が正しい」と全て反論するのではなく、「あの人の言った事はここは間違っているけど、ここは為になるよな」といったん立ち止まって考えてみることが必要なのではないでしょうか。

今回は少し説教くさい話になりましたが、素直さは就職活動でも、大いに役立つ考え方だと思います。

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