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チェット・ベイカーとジャズボーカル

ジャズを聴いてみたいけど誰から入れば良いのか分からないなんて思っている人は多いのではないでしょうか?

ジャズを全く知らない人にとって同じトランペットの音なんだから誰が演奏してようが関係ないと思うかもしれません。だからこのように思っている人にはいつもジャズボーカルを薦めています。

世の中には様々なジャズボーカリストがいますが、一番おすすめなのがチェット・ベイカーです。多くのジャズボーカリストは声がハスキーだったり、歌い方が特徴的だったり、かなりクセのある人が多いのですが、チェット・ベイカーはどちらかと言うと声も歌い方もメロウで物憂げのある感じと言ったところでしょうか。

また、チェット・ベイカーはドイツのベルリンで軍楽隊のメンバーとしてトランペットを演奏するなど、トランペット奏者としても優れた実力を持っており、1950年代半ば当時の音楽雑誌の人気投票でマイル・デイビスやクリフォード・ブラウンなどの若手スーパースターを抑えて「人気トランペッター」の首位を獲得する程でした。

そんな彼のブレイクを決定づけたのが1954年発表の『チェット・ベイカー・シングス』です。本作はウェストコースト・ジャズを代表する作品の一つであり、彼が数多く遺したボーカルレコードの中の最高傑作としてファンの話題を賑わせています。

〈それぞれの曲の説明〉
(以下はCDライナーノーツから引用)

  1. That’s Old Feeling
    日本では上映されなかったと記憶するが、1938年のファッション界を扱った映画「Vogues of 1938」の主題歌で、同年のアカデミー賞にノミネートされた歌曲である。

  2. It’s always you
    映画「アフリカ珍道中」 主題歌。

  3. Like Someone In Love
    日本には来なかったRKO映画「Belle of the Yukon」の主題歌。

  4. My Ideal
    フランスの人気者モーリス・シュヴァリエのアメリカ第一作映画「レビューの巴里っ児」の主題歌としてつくられ、同年彼の映画「Playboy in Paris」でも歌われた。チェレスタ伴奏でヴァースから歌われる。

  5. I’ve Never Been In Love Before
    1950年のミュージカル「野郎どもと女たち」の主題歌。今まで一度も恋をしたことのない男が、突然こいをしてもうろうとした状態になっているが、かつて恋を知らなかった男ということに免じて許してください、という告白の歌。

  6. My Buddy
    1922年に作られた古い歌だが、1951年日本未封切のドリス・デイ主演のワーナー映画「I’ll See You in My Dreams」に挿入されてリバイバルした。トランペットから始まり、ヴァース抜きでコーラスから歌われる。マイ・バディとは僕の親友とか相棒の意味だが、チェットがクールに歌うとミスター・レディのような感じになる。

  7. But Not For Me
    1930年のミュージカル「ガール・クレイジー」に書いたガーシュウィン兄弟の作。

  8. Time After Time
    昭和24年に日本で封切られたシナトラ映画「下町天国」(It Happened in Brooklyn)の主題歌。若いミュージカル・タレントたちの成功物語で、キャスりん・グレイソン、ジミー・デュランテ、ピーター・ローフォードなどが出演していた。

  9. I Get Along Without You Very Well
    ホーギー・カーマイケルの作詞作曲。get along very wellという熟語は「十分にらやってゆける」の意味。恋人に去られた男の歌。

  10. My Funny Valentine
    あまりにも有名なスタンダードだから解説は必要ないと思う。

  11. There Will Never Be Another You
    スケート金メダリスト、ノルウェイ出身のソニア・ヘニー主演映画の主題歌。

  12. The Thrill Is Gone
    記載無し。

  13. I Fall In Love Too Easily
    シナトラとジーン・ケリー、キャスリン・グレイソンが主演した「錨を上げて」の主題歌で、この映画は最優秀作にノミネートされたほか、この主題歌もジーン・ケリーも撮影者もノミネートされたのだが、結局音楽を編曲・指揮したジョージ・ストールだけがオスカーを得た。

  14. Look For The Silver Lining
    1920年に作られた古い歌。

いかがだったでしょうか?ジャズを聴いてみたいけど誰のどのアルバムから入って良いか分からないという人は是非、チェット・ベイカーの『チェット・ベイカー・シングス』を皮切りとしてジャズを楽しんでみてください。

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