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SETSUNA

刹那(きわめて短い時間、瞬間)

僕は普段、家にこもって本ばかりを読んでいる。だけど、この季節だけは出歩く事にしている、もちろん本をもってね。向かう足はただ真っ直ぐあの場所へ。
あたり一面が桃色(pink)に染まり、なんだかあくびまで染まっちゃいそうだ。
そんな事を想いながら大きな温もりに背中を預けて本を読む。いたずらな風が頬を少し撫でてゆく。追いかけることもなくただじっと僕はここに居る。本の上に舞い落ちてきた花びらが今度は僕の代わりにいたずらな風を追いかける。それを、つい目で追いかけてしまう。
そして
花びらはまた違う本の上に止まった。
長い髪を耳にかけたその人は花びらをじっと見つめている。すると今度は舞うことなく、ゆっくり滑り落ちてゆく花びらが地面に向かう時、僕は大きな瞳と目が合った。

刹那、こんなに長いなんて。


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