おはなばあさんと稲荷(日常の不思議ファイル 46)
私が子供の頃、
おはなばあさんが田んぼの向こうから歩いてくると、すぐ分かりました。
地声というのでしょうか、大きな声で、
「大したもんだ、・・・大したもんだ・・・」
と繰り返しながら、ゆっくりゆっくり歩いてくるのです。
その当時は75歳になると長生きしたということで金杯がもらえる?時代でしたが
おはなばあさんは90歳を超えていました。
つまり、自分が長生きして「大したもんだ」なのだそうです。
大声で自画自賛しながら、そうやってゆっくりゆっくり歩いていました。
ところが、そのおはなばあさんが具合が悪くなって寝込んだとのこと。
さすがに歳だし仕方ないことかとおもっていました。
その当時私の祖母は何かの占いにはまっていて
おはなばあさんのことも占ってもらったそうです。
(私の両親はそういったことは信じてないので嫌がっていました。)
占いでは、
おはなばあさんの家の裏山に稲荷があるはずで
そこが忘れられ、手入れをされていないからだと言われたのだそうです。
それをおはなばあさんの家族に言うと、
あっ!と心当たりがあり、息子夫婦が急いで稲荷を掃除したそうです。
するとなんと、おはなばあさんは(私から見て)よみがえり、
また、
「大したもんだ、・・・大したもんだ・・・」
と繰り返しながら、
ゆっくりゆっくり歩いてくるおはなばあさんを見るようになったのです。
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