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母と家で過ごした日々 在宅緩和ケアと在宅看取り

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亡くなった母と過ごした最後の日々、その後の移ろいゆく自分の心について書いています。 母は末期の卵巣がんでした。 終末期に、緩和ケアを受けながら自宅で過ごし、自宅で父に手を握られ…
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#在宅緩和ケア

旅立ちの時

旅立ちの時

夕方、お医者さんから電話があった。

お母様の呼吸が荒くなり、時々無呼吸になっています。
苦しそうに目を閉じていて、会話できず、眠っている時間が長いです。
そろそろお迎えが近づいているように思います。
心の準備をしてください。
持続皮下注射のレスキューボタンは、苦しそうなら何度でも押してあげてください。
口は、スポンジのようなもので湿らせてあげると、楽になるかも知れません。
このような状態になると

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生きるってなんだろう

生きるってなんだろう

「苦しい」

昨日、朝様子を見に行くと、母は目も開けられず、ほとんど声も出せず、絞り出すようにそう言いました。

少し前から辛い時、痛い時は、持続皮下注射のレスキューボタンを押すことになっていますが、辛すぎて、ボタンがどこにあるか探せなかったため、どんどん辛くなってしまったようです。

レスキューボタンを押してから、母の手に握らせて、何度押しても危険な量は出ないように設定されているから、いつでも押

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