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僕日記

例えば、ずっと通っていて、好みも感性も似ているような美容師さんがいて、晴れの日にヘアセットしてもらうとする。
その美容師さんの感性を信頼しきっている僕は、
「美容師さんにお任せします!」という。
きっと、美容師さんは、僕の想像通りかそれ以上のヘアセットをしてくれる。
僕は、「やっぱりこの人は僕と好みが似ている」と改めて思う。
でも、たぶん、美容師さんが僕の好みを知っているだけなんだろうな。
お任せすると言いながら、僕の理想に合わせてくれることを期待していて、美容師さんもそれを知っていて、僕もまた美容師さんが合わせてくれることをどこかで知っている。
僕は美容師さんを信頼している。美容師さんは自分を信頼している。お互いが信頼し合うのは、とても難しい。
友達、恋人、夫婦。色んな形があるけれど、ベクトルが一方通行な当たり前を、悲しむことは傲慢なのかもしれない。
なのに、僕達は、いつだって何かを信じて、何かに信じられていることを願って、何かに信じられていることを蔑ろにする。人って難しい生き物なんだな。

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