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Life in a sleep pod on a spaceship.

日記に、その日あったことを書くことが苦手だ。

子どもの頃からそうで、最初は「今日は〇〇をした」と書き始めるのだけど、その時考えていることに内容は移行して、結局、その日何をしていたかの詳細は不明になる。

今でもその癖はそのままで、私が日記を開く時は、とても落ち込んでいたり、不安だったり、苛立っている時に限られているせいもある気がするけれど、「誰しも人生をコントロールすることはできない」となぐり書きしていたり、「幼い私はマットレスに染み込んで死にました」と書きつけてあったりで、その日何が私に起こったのかは全くもって不明である。


今年のゴールデンウィークは、誰にもあわず、誰とも話さず、床面積16平米の狭いアパートの小さなベッドで、午前中に少し目覚めては微睡み、次に目を覚ますともう午後も遅く、窓の外も少し暗くなっているというような有様だった。

短い覚醒時間の間に少しだけ本を読み、気まぐれにピザを頼んでみたり、着ていく先もないのにセールになっている服を何点も注文したりする。

誰とも話していないことを少し寂しく感じて、古くからの友人に近況を記した葉書を送り、SNSで彼氏との関係に苛立つ友人に気遣うコメントをつける。

Amazonで注文していた水が届いて、玄関に置き配してもらう。美容室にいけないせいで伸びきった髪を浴室で眺めてため息をつく。憂鬱を慰めようと暖かい紅茶を入れる。

小さなベッドに潜り込んで、紅茶を飲みながらぼんやりとしているうちに、また夢の世界に旅立つ。遠い惑星に着くまで睡眠と覚醒を小さな Sleep pod で繰り返すSF映画の宇宙飛行士みたいに。


今、外で大きな音を立てて雷が落ちた。

私はSleep podに安全に隔離されている。ただ運が良かっただけの私が、とても奇妙だけれど、小さなSleep podで幸せな惰眠を貪っている。

再び轟音が響き、叩きつけるような雨が降り出す。

雷鳴が止まらない。

雷鳴が止まらない。

最後まで読んでくれてありがとう。