2022年観劇まとめ

2022年も思う存分観劇を楽しめました!!
観劇回数は40回くらい??
とある作品にハマって気が狂ったように配信を見ていたので
それも入れたら50本くらいになりそう……。
純粋な作品数で言うと35作品になります。
今年は去年に比べて進路のことなどでバタバタしていたためやや少なめになりました。
ただ、作品ごとの満足度の平均値はとても高かったので充実していたと思います!
今年は去年とは少し仕様を変えて、強く印象に残った作品3つとその他の感想といった感じでまとめてみます。

特に印象に残った作品

DAZZLE「Venus of Tokyo」

2021年6月~2022年3月 ヴィーナスフォート
最初に書いた、気が狂ったように配信を見た作品です。
お台場の商業施設で去年からロングラン公演を行っていて、私は今年の1月に初めて観ました。
この作品、普通の舞台作品とは少し違っていて「イマーシブシアター」という形式なんです。どういう形式なのかというと、建物の中にいくつも部屋があって、お客さんは自由に部屋を移動しながら作品を鑑賞できるんです。
好きな役者を追いかけてもいいし、好きな部屋にずっといて出来事を観ているだけでも良い。観客によって物語の見え方が大きく変わるという点がとても特徴的です。体験型脱出ゲームに近いかも知れない。
気になる人用にDAZZLEが出している宣伝用映像のリンク張っておきます。

私がハマったこの公演は、VOIDというオークション会場が舞台という設定でした。お客さんとの物理的距離が近いから、表情や小さな仕草など普段の舞台であれば見逃してしまいそうな情報をキャッチすることができて濃密な観劇体験だったなと思います。
DAZZLEはダンスカンパニーなのでダンスが中心に物語が進んでいくのですが、そのダンスも登場人物の状況や感情に寄り添って踊られるため見応えがありました。
私が特に魅力を感じたのは最初と最後に全員で踊る群舞です。大人数で踊るダンスってつい動きが細かいところまで揃っているかで評価をしてしまいますが、この作品はキャラクターひとりひとりにあった踊り方をするため動きが微妙に役者によって違っているように見えました。ダンスを物語に落とし込んでいるように見えて、何回も観たくなる魅力に繋がったのかなと思います。
本当に楽しかった。今年はイマーシブシアターとDAZZLEとの出会いがかなり大きかったなと思います。

日本総合悲劇協会「ドライブインカリフォルニア」

5月 本多劇場
大好きな松尾さんの作品。昨年、映像で観た「ふくすけ」がすごく好きだったので同じニッソーヒの公演を楽しみに観に行きました。
毒はたっぷりで観ていて緊張を感じたシーンもあったのですが、すごく優しい物語だと感じたことが印象に残っています。
ラストシーンの台詞がすごく好きでした。

泣けるように頑張ろう。泣けなかったら目薬をさす。ダメかな。

河合優実さんの台詞。パッと聞くと変な台詞なんだけど、私はこの作品を観ていて、優しさの本質ってこういうことなんだろうなと感じました。「あなたがいなくなってしまって悲しい」という気持ちを必死に泣くことで伝えようとする不器用さがとても愛おしくて一気にその役が好きになりました。
あと最初に竹林とタイトルが浮かび上がる演出が好きだった。タイトルがでっかく出てくる演出に興奮しちゃうタイプのオタク。

COCOON PRODUCTION 2022「パンドラの鐘」

6月 シアターコクーン
別の人の演出で去年も感動した作品。私はこの戯曲が好きなんだろうなと思います。
舞台美術と照明、音楽がとても印象に残りました。
一部客席を潰して舞台面を広くした所謂「張り出し舞台」という形状だったのですが、その張り出し部分がただ張り出させるのではなく、床に着く部分を木の柱のようなものにして、まるで舞台上が神棚の上であるかのようなデザインにしていたことが印象的でした。現代の人間が、ヒメ女とミズヲの物語を勝手に神話にしてしまたかのような不気味さと同時に神聖さもありました。
照明は回想シーンで使われていたナトリウムランプみたいなものが印象に残っています。ナトリウムランプって検索すれば出てくると思うけど、車のトンネルとかに使われているオレンジ色の光です。あれって暗い場所で光らせると色が変化して見えるんですよ。例えば、白いものが黄色に見えたり赤いものが黒く見えたり。それだけを照明として使うことで舞台上がセピア色に見えて、目の前で起きている物語が意図的に色あせていることに鳥肌が立ちました。
音楽は近未来と古代の曲がリミックスされたような雰囲気の曲が使われたスポット映像がすごく好きで。

これが劇場で大音量で流れた瞬間に一気に世界に引きずり込まれました。
玉置怜央さんが圧倒的にお芝居が上手くて好きでした。第一声を発した瞬間声の響きが気持ちよすぎて一気に好きになりました。告白です。

あとこれは余談というか軽い愚痴なのですが。パンドラの鐘って作品中にミズヲがヒメ女の胸を触るシーンがあるんですよ。で、そのシーンだけ切り取って報道するような記事を何本か見かけまして。
でも、そのやりとりがあることでラストシーンが希望なのか絶望なのか分からない複雑な後味になることに繋がっていくんです。
ヒメ女の服を脱がせずに胸を触ることは出来なかったけれど。パンドラの鐘に閉じ込めた決して繰り返してはいけない歴史は、パンドラの鐘に触れることなく未来の人に届けられるのだろうかという、ヒメ女とミズヲの壮大な賭けになっていくのに!!といった感じでもんもんとしていました笑
記事にしてくれる側も仕事なので仕方がないとは思っているのですが、演劇を創る側でもある身としては「なんとかならないかな」なんて思ったりしました。

それ以外の観劇まとめ

※今回めちゃくちゃ悩んで3作品にしぼったのでそれ以外というくくりではありますが、全部本当に面白かったです!大好き!

1月

アプローズ「GANG2022」

子役の皆さまの歌とダンスが上手でびっくりしました。物語の構成は、子どもが悪い大人に立ち向かっていくという、やや見慣れた展開ではありましたが、子どもには子どもなりの思惑や目的があって行動している、というところが分かりやすく表現されていて見やすかったです。

多摩美「一億マイルの彼方から」

先輩の卒業公演。昨年の上演実習がとても面白かったので楽しみだったのですが、かなり作風が変化していたので驚きました。でも面白かった!特にラストシーンの照明と役者の動きが鮮烈で今も目に焼き付いています。
私たちの卒業公演もあれくらいお客様の印象に残るものだったらいいな。

柿喰う客「空鉄砲」

柿喰う客って、お芝居という虚構性を最大限に生かしているところが魅力だと思うのですが、この作品は物語という虚構と、さらに物語の中にある虚構の虚構を反復横飛びするかのような構成が面白かったです。
3人芝居でありながら、4人目の「父親」という存在がいつの間にか浮かび上がってくるのはきっと役者力なのだと思います。劇中曲として使用された「キスからはじまるミステリー」印象に残りすぎて当時YouTubeのオススメがKinKi Kidsで埋まりました。

シスカンパニー「ミネオラツインズ」

大原櫻子さんの演じわけが印象に残りました。難解な戯曲に思えましたが、難しい言葉たちを、自分の言語として話していることが客席まで届いたおかげでとても見やすかったです。
あと小泉今日子さんがすごかった。青年にも30代前後の女性にも見えて素敵でした。


演人の夜「本日、承後過ぎの生き方」

当時は外部の人間だったのですが今では、自分が所属する劇団になってしまいました。1年という月日って何が起こるか分からないなあ。
なんだか恥ずかしいのでサラッと。面白かった!

柿喰う客「恋人としては無理」(配信)

2021年の作品を滑り込み配信で。なんで急遽観ようと思ったのか忘れちゃったなあ。でも全員がほぼ同じ衣装な群像劇なのに物語がくっきり見えて画面越しでも中屋敷さんの美学が見えたことが印象に残ってます。
加藤ひろたかさんが演じていた、「ピカ」と鳴くロバが好きでした笑
キリスト教の幼稚園に通っていたため馴染みのある内容と役名だったのも大きいかもしれません。

2月

コクーン歌舞伎「天日坊」

宮藤官九郎さん演出作品。これも良かった。人間が誰かを殺害しようと考える気持ちの移り変わり、緊迫感がシアターコクーンいっぱいに広がっていて観劇特有のドキドキを味わえました。歌舞伎とジャズ音楽の組み合わせもかっこよくて好きでした。中村勘九郎さんってちょっとおバカな役が似合う魅力があると思っているのですが、そんな勘九郎さんが追い詰められていく様子は観ていても疲れてしまって心地よさがありました。

新国立演劇研修所「理想の夫」

大好きな高校の同期が出演していた作品。同期はドレスが似合っていて超良かったです。天才。
物語は、コメディと謳われてはいましたが実際は男女観について描かれた真面目な作品という印象でした。女性として不快に感じてしまうような台詞も多くてなかなか笑えませんでした。でもそういう引っかかりを演劇を通じて感じる事って大事だと思います。
だから、手放しに面白いとは言えなくてもすごく良い作品だったなと感じました。

3月

大人計画「命ギガ長スW」

松尾さん作品!大変失礼な感想ではありますが、数年前に映像で観た時よりも宮藤官九郎さんのお芝居が上手になられていて良かったです!劇中の効果音を全部人間の声で表現するの、予算的にも劇の効果的にもすごく良いアイデアだなと思いました。
私は美しい死よりも、泥臭い生を描いた作品の方が好きなのですごく元気づけられたし暖かい気持ちになりました。

4月

劇団短距離男道ミサイル「UFO」

メタフィクションてんこ盛りの作品。上演中に役者さんのラインのQRコードを読み込めといわれラインを登録させられました(本当に本人のラインだった)。中々ない体験だったと思います。
終演後イベントのダンスがキレキレすぎてめちゃくちゃ笑ったことを覚えています。

COCOON PRODUCTION 2022「広島ジャンゴ」

昨年観た蓬莱さんの作品は私には合わないと感じたのですが今回はめちゃくちゃ良かった。鈴木亮平さん演じる馬が好きでした。ブラック企業の表現がリアルでとても辛かったのですが、最後に希望を提示されたので救われました。中村トオルさんが本当に嫌な役で嫌いになりそうでした笑

あっとほーむvol4「生きていくということ」

囲み舞台の構造で興味深かったです!イマーシブシアターほどでは無いけれど没入感がありました。病死などの物語があまり得意では無いのでちょっとだけnot for meでした(魔法の言葉)

5月

High-Card「幕末群像 画竜天晴」

天晴の晴の字が本当は違う字なのですが出てきませんでした……。
王子小劇場を縦横無尽に駆け回る迫力満点の作品でした。私があまり日本史が得意じゃ無いので物語を全部受信できなかったのが心残りです。知ってる人がいっぱいいて楽しかったです。

劇団☆新感線「神州無頼街」

ここ最近の中島かずきさんの作品の中で1番好きでした。殺し愛、愛憎などといった人間のクソデカ感情がこれでもかというほどひしめき合っていて劇場で興奮しました。興奮しすぎて幕間でライブビューイングのチケット買いました。怖いね。福士蒼汰さんが殺陣もお芝居も上手になっていて素敵でした。個人的には清水葉月さんのお芝居が好きでした。

北区☆AKTSTAGE「飛龍伝」

当時、noteの別記事に熱い熱い感想記事を書いたので読んで欲しいです。

Air Studio「飯田家の最期」

遺産相続争という一見血なまぐさそうなテーマをポップに描かれていて好印象でした。お鍋が美味しそうだった。

6月

早乙女太一ファンクラブイベント「INSIDE」

普段あまり大声では言っていないのですが私、早乙女太一さんがすごく好きで。踊りや殺陣ももちろんなのですが、お芝居の考え方とか、観客に対する向き合い方をとても尊敬していて。そんな太一さんが自分と観客に本気で向き合って踊っている姿はかっこよかったです。

MELT「異能の人」

コントと演劇の境界線を敢えてあやふやな状態にして上演しているのが印象的でした。イエベブルベ戦争が好きだった。

PARCO「てなもんや三文オペラ」

鄭さんの翻案作品が好きなので楽しみにしていましたが、今回は微妙でした。翻案が上手く機能していないように見えました。久米さんの音楽は永遠に最高でした。生田斗真、快活な役もくず男も似合うの不思議だなって思いながら観てた。

8月


キューブ「世界は笑う」

昭和の喜劇人たちの群像劇ということでとにかく登場人物と物語が多かったのですが、全部脳内処理できたのはケラさんの構成がめちゃくちゃ上手いんだろうなと思います。オープニングの映像とダンスの演出、それからプロジェクションマッピングを使った演出が印象的でした。緒川たまきさんの演技がすき。

劇団5454「プロパガンダゲーム」(配信)

正確には他の制作会社プロデュースの舞台なのですがスタッフがほとんど劇団5454だったので実質5454の観劇でした(?)
原作小説ありの舞台だったのですが本当に面白かった。就活という枠組みはありながらも特殊な設定が多い中で上手に舞台美術の文字や照明を使いながら、クドくならずに観客に説明してくれるのが心地良かったです。
あと議論劇のような雰囲気だったので役者の実力によっては観ていて飽きちゃう可能性もあったと思うのですが、最後まで引き込まれました。

Prelude「ここハ東京、ユメのあと」

観ていて映像作品を観ているような感覚になりました。舞台美術が白っぽくてオシャレでした。コミカルなシーンはありつつも全体的にしっとりとまとまっていて見やすかったです。

9月

あやめ十八番「空蝉」

すごく好きでした!死神が医者に恋しちゃうって設定がもうロマンチック。去年よりも歌詞が耳に入ってきやすかったです。なんだか昔読んだ、地獄巡り?みたいな絵本を思い出しました。あれくらい愉快な地獄なら喜んで行くのになあ。

青年劇場「豚と真珠湾」

役者の方言が上手すぎて途中何を言っているのか分からないという問題が発生しました笑 そこを整備してリアルと虚構と観客とをつなげるのが演出家の仕事だと個人的には思うのですがどうなんですかね……。あとは今の私たちにとって「戦争」というキーワードは数年前に比べて身近になってしまっていて。だからこそ作品を創る際にもその感覚のアップデートが必要になってくるなと個人的には感じました。

DAZZLE「百物語 夜香花」

イマーシブシアター二作品目!VoTよりも観客の謎解きが物語の進行をする上で求められているのが難しかったなと思いました。でもダンスが最高だったので全部チャラです。

10月

DAZZLE「Breakthrough Journey」

DAZZLEが普通の劇場で創る作品が観たくて行きました。面白かったけれど今年観た他2作のような興奮はありませんでした。
多分、この作品は長谷川達也さんという演出家が「誰かのために」創った作品だからだと思います。他2作は長谷川さんが「自分が創りたくて」創った作品だったから面白かったのかなと。演劇って基本的には「誰かのために」あるべきだと思うのですが軸が「誰かのため」だと一気に作品の彩度が低くなってしまうんだなと思いました。

平成中村座「綾の鼓・唐茄子屋」

浅草寺の仮設舞台で上演された歌舞伎。お祭りみたいな雰囲気で本当に楽しかったです。隣の席に座っていたマダムとなぜか花園神社のテント芝居の話で盛り上がりました。不思議。

11月

三銃士企画「歌妖曲」

「リチャード三世」という私がシェイクスピア作品の中で1番好きな作品を日本の昭和歌謡曲界に置き換えて翻案するということですごく楽しみにしていたのですが微妙でした。面白いはずなのに、演出や脚本が痒いところに手が届かない感じがあって。私も観ながらどこをどうしたらもっと面白くなるんだろうと考えていたのですが思いつかず、やろうとしていたことそのものが難しかったのかもしれません。ただ役者の皆さまは本当に素晴らしかったです。中川大志さん、松井玲奈さんが印象に残りました。

劇団☆新感線「薔薇とサムライ2」

新橋演舞場めちゃくちゃ良い劇場でした……。楽しみすぎてお弁当買って客席で食べちゃった。本当に楽しかった。
エンタメ全部盛りの私が大好きな新感線がそこにありました。天海さんの華やかさ、古田さんのかっこよさ、生瀬さんの胡散臭さどれもが最高でした。あと早乙女友貴さんが新舞踊やってくれたのが嬉しすぎていのうえひでのりさんに感謝してもしきれないです。

大人計画「ツダマンの世界」

間宮さんの演技がすごく上手でびっくりしました。昭和の文豪のクズな感じが似合ってました。あと純粋に発声と滑舌がよくて興奮しました。ちょっと調べたらつか作品とかやったことあるんですね。観たい。
ラストシーンが鮮やかで、虚無感がありながらも女性たちの強かさと美しさと狂気にただただ圧倒されました。面白かった。

12月

早乙女太一ファンクラブイベント「雪月花」

剣舞、立方、女形、様々な踊りがてんこ盛りでした。楽しかった。
早乙女太一さんの踊りって、なんだか空間全部を支配しているように見えるんですよね。音も光もすべてが太一さんの身体から発せられているように思えるし、舞台セットや持ち道具は生きていて、太一さんの心が動かしているように見える。その覇気と身体性に目を奪われました。

柿喰う客「禁猟区」

私が観るはずだった日に、田中穂先さんが体調不良でお休みされてしまい、急全配役シャッフルの乱痴気公演を観てから通常公演を観るという順番になりました。(どうしても田中穂先さんを観たかった)
乱痴気公演って稽古回数もそんな無いはずなのにまとまってるしちゃんと面白い、しかもちゃんと話が分かるのがすごいなあと思いました。多分、劇団としてのまとまりが確立していて、団体芸が得意だからこそできる取り組みなのだと思います。
それでもやっぱり乱痴気公演には荒らや違和感があって。それが通常公演を観た瞬間に無くなっていたのが気持ちよかったです。微妙に枠に合わなかったパズルのピースが一気に綺麗にハマったような感覚でした。
特に永田さんが真ん中に立った瞬間のギラギラ感は最高だったし、どうしてもどうしても観たかった田中穂先さんのお芝居も台詞の濁流に客席が呑み込まれるめちゃくちゃ気持ちよくて、私が観たいと思った以上のものを提供してくれる役者力に骨抜きにされました。


以上!良い作品にたくさん出会えて幸せでした!結構文字を書くことが好きなので来年はもう少しチマチマ
何か文章を書けたらいいな。

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