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源氏物語日記(2023/09/30)

夜は肌寒くなってきた。
秋がきている。
しかし、こっちの秋はとても短い。すぐ冬になる。
毎日を新しい日として、味わおう。

「若紫の新しい暮らし」(若紫)

突然つれてこられた二条の邸での暮らしに、最初はおびえていた姫君(若紫)も、美しく整えられた部屋や美しい着物、めずらしいおもちゃに、今ではすっかり夢中になっている。
源氏の君にもよくなつき、夜は一緒に眠る(手は出してない。まだ)。
この無垢な姫君に、源氏の君は勉学の他にも「女はすなおでやさしいのが一番」と自分の理想とする女性像を教えはじめる。
姫君も、持ち前のすなおさで、源氏の君の言葉を受け入れる。

本当に、この若紫という姫君は、源氏の君の理想とする女の子なんだな。
足跡ひとつない雪のようにまっさらだから、自分好みに育てられる。
このすなおさを、「無知」と捉えるか、「才能」と捉えるかで若紫のイメージが変わってくる。
私は「才能」だと思っている。

人の言うことをすなおに受け入れ、学んだことを吸収していく。

子どもだからって、誰しもができることじゃない。
若紫の心のすなおさが、彼女を教養ある女性かつ源氏の君の理想の女性へと成長させていく。

私は、若紫(のちの紫の上)が一番、好きだ。
小学生の頃に読んだ源氏物語の関連書には「紫の上は女としての自主性がなくてだめだ」と批評する女性著者に、おどろいた。
たしかに、紫の上は源氏の君の言うがままに動いている。
けれど、彼女は「源氏の君の理想」を生涯背負いきった、ただ一人の女性である。
紫の上だって、自己主張をしたいときもあっただろう。
でも、彼女は源氏の君の求める女性として生きることを選んだ。
決してそれは、楽な生き方ではない。
それは、彼女の「強さ」であると小学生の私は、なんとなくだが、感じていた。

大人になって再読している今は、どう感じるだろう。
やはり「自主性(中身)がない」と思ってしまうのだろうか。
それが少し怖い。

明日も読む。

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