源氏物語日記(2023/10/07)
最近、本がぱたりと読めなくなった。
本、というか小説(フィクション)が。
「これはいかんぞー!!」と思い、読書欲を湧かすために、文庫『少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記』(最近、電子書籍で復刊した)を読む。
この読書日記はべらぼうにおもしろくて、過去に五回は読んでいる。
それでも、いつも新鮮な気持ちで読める貴重な本。
読書欲も少しずつ回復してくる。
さあ、「源氏物語」を今日も読もう!
「姫君の象鼻」(末摘花)
夜の間に降り積もった雪は、荒れた庭を余計にさびしいものにさせる。
それでも足跡ひとつない雪景色を姫君と一緒に見ようと、源氏の君は「美しい雪景色をごらんならい」と呼び寄せる。
おずおずと出てきた姫君の姿を横目で見て、源氏の君はぎょっとする。
姫君の姿は……
・座高がとても高くて胴長
・鼻が象のように垂れ下がっていて、先が赤くなっている
・雪よりも青白い顔色
・額が広く、下ぶくれの顔は馬のように長い
・着物の上からわかるほどやせほそっている。骨が痛そう
お世辞にも美人とは言えないその姿に、すっかり源氏の君はがっかりする。
それでも人間一つはいいところがある。
姫君の頭の形や紙の美しさは美人にひけを取らない。
……でも、やっぱり着ている着物や黒貂の皮衣が不格好。
うーん、今まで登場してきた姫君と比べると雅さもない。
ここで普通の男なら、姫君をすっかり見限るだろう。
でも、源氏の君は姫君をかわいそうに思い、その後は姫君はもちろん、女房たちや門番にいたるまで何かと援助をしてやる。
それも一度や二度だけの援助ではなく「ここまできたら最後まで面倒をみよう」と心に決める。
美しさや性格ではなく、同情するほどの不器量という理由で、一気に豊かな暮らしができるようになった姫君。
器量があまりよくない読者の希望の光である。
途中はほっぽったりしたけど、最後は良心を見せてくれた源氏の君。
末摘花とのエピソードは笑うところも多いのだが、源氏の君の育ちの良さ(根は悪くない)ところがわかって、好きだな。
明日も読む。
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