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【読書記録】ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」長島良三 訳

 今回はガストン・ルルーの作品「オペラ座の怪人」を読みました。現在はミュージカルとして有名な作品ですが、原作は小説です。

  ガストン・ルルーはジャーナリストとして活躍していた人物です。裁判記録や犯罪に関する記事などを類まれなる文才を発揮して執筆していました。その後小説も執筆するようになります。『黄色い部屋の謎』などが有名作品となっており、密室トリックの金字塔ともいえる作品です。私はまだ読んだことがありませんが。


  この話は芸術の都パリに建つオペラ座が舞台です。オペラ座では毎晩華やかな演目が上演されていますが時々不思議なことが起こります。そのうち大道具の人が殺されたり、シャンデリアが落下したりと大きな事件も起こるようになります。
  その裏には複雑で純粋な愛が絡んでいるという物語になります。

  この物語には恋愛小説のような心情描写と、ミステリ顔負けのトリックたちの面白さが共存している作品です。
  一人の女性をめぐって繰り広げられる事件と葛藤。だんだんと気持ちが燃え上がっていく様子はまさに恋愛小説です。少し古い時代の話にも関わらずぐさぐさと心に訴えてきます。ガストン・ルルーの文才が垣間見えるようです。

  さらにこの作品の面白いところはトリックです。ひと昔前でほとんど電機が使えなかった時代に様々な不思議なことがおこります。しかもミステリアスで現実離れしているにも関わらず最後には鮮やかに解決される点がこの作品の面白さでしょう。私も途中からページをめくる手が止まりませんでした。すっきりと解決するからこそ、重たい恋愛小説にならずバランスの取れた傑作になっているのだと感じます。

  そしてなんといっても舞台がかっこよく、どこまでもミステリアスです。これはもうずるいレベルじゃないでしょうか(笑)とにかくきれいで、頭の中に浮かぶ映像も非常に素晴らしい。描写も綺麗で大きく重厚な雰囲気が伝わってきます。小説を読む方は是非途中で、パリオペラ座で検索をしてみてください。思っているよりもきれいでさらに鮮やかに物語が楽しめるでしょう。

おわりに

  今回は『オペラ座の怪人』でした。劇団四季がたまに公演をしていていつも見たいと思うのですがなかなか見る機会に巡り合えません。ただ少し聴く感じ音楽も美しいものがありそうなので早く見たい!
  次回の投稿はミステリ作品です。keywordは『予測』かな
  お楽しみに!

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