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【読書記録】村上春樹「遠い太鼓」

 今回は村上春樹の作品「遠い太鼓」を読みました。

  最近やっと海外旅行にも行けるような雰囲気になってきました。私も大学生のうちにそれなりの海外旅行ができればいいなと思っているのですが、なかなか実際の旅行をイメージするのは難しいものです。そこで夏休みの海外旅行の計画を立て始める今の時期に海外旅行気分を高めるために「遠い太鼓」を読みました。これを読んでイタリアに行きたくなったかはさておき。

  さて上の文章からもなんとなくわかる通り、この作品は村上春樹自身がヨーロッパを転々としていた3年間を描いたエッセイになっています。ちょうど大ヒット作品の『ノルウェイの森』や『ダンス・ダンス・ダンス』なんかを執筆していた時期です。
  エッセイの中では簡単ですがこれらの本の執筆裏話的な小話もあったりします。やはり彼の作品も割に周りの環境から影響を受けているようでなかなか面白いなと思う話が多いです。

  そしてなんといってもこの文章の魅力は決してガイドブックでもなければ、旅行記でもないというところでしょう。一人の海外滞在者という視点から切り取られる海外はどれも不思議とリアリティがあります。いささか斜に構えた感じで語られていく海外の様子は最高です。

  不思議なのが、日常の些細な出来事も村上春樹の手にかかれば鮮やかで面白いストーリーになってしまいます。私は車に乗っていてそれが故障したときの様子をあそこまで面白く書いた文章を他に読んだことはありません。そこはさすが職業作家です。なんというか、彼は何事も少し客観的に一つ一つの出来事をとらえているような気がします。私もあんな感じでエッセイを書けるようになりたいな。

  もちろん旅行意欲もそれなりに刺激されます。彼が訪れた国ではいろいろなハプニングが起きたりうまく進まないことがあって割に批判的に書いている部分も多いですが、一方おいしい料理や魅力的な人柄の人物、面白そうな場所がいくつも出てきます。もちろんそれなりに古い情報にな波るのでガイドブック的な使い方は(どう頑張っても)できません。ただ私もイタリアに行って昼からワインを飲んでビーチで読書したりしてみたいものです。

おわりに

  今回はエッセイを読みました。当たり前ですがエッセイと小説は全然違うものでそれぞれ違う楽しみ方があります。個人的にはエッセイはあまり読んでいても疲れません。小説は読んでいて感情を動かされたり筋書きを理解するのに考えたりと能動的で自分の中に入り込んでくるような印象があります。けれどエッセイはあくまで他人の生活をのぞき見している感じで気楽に読めてしまいます。
  どちらも魅力的ですが、ちょっと疲れた時にはエッセイを手に取ってみるのもよいかもしれません!

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