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【光前寺庭園】境内の桜が薄桃色に染まる束の間の春(長野県駒ヶ根市)

「名勝」とは、日本における文化財の種類の一つ。本連載では国指定名勝の庭園、峡谷、海浜、瀑布などを、臨場感あふれる撮りおろし写真で紹介します。旅に出たような気分で、日本の美しい景勝地の数々をお楽しみください。(ひととき 2019年3月号「名勝アルバム」より)

 光前寺(こうぜんじ)庭園は、長野県内で庭園として最初に名勝指定された。指定区域は境内全域に及ぶ。清い若葉の杉並木や寺域を囲む樹林の紅葉など、長野県下随一ともいわれる静寂な環境と情緒を求めて、年間を通じて人が集う。

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 そんな光前寺庭園が、いつにも増して賑わう時季がある。境内の桜が薄桃色に染まる束の間の春だ。

「先代が境内に植え始め、私も手伝うようになって、今では春の名所として広く親しまれています。開花時期は毎夜21時までライトアップしており、日中と異なる雰囲気も楽しめます」と住職の吉澤道人(どうにん)さん。

 境内各所に植えられた約70本のしだれ桜は、古木の鐘楼桜、不動滝桜、仁王門の桜などの名称を持ち、さまざまな表情を見せる。早朝の可憐な姿、夜間の幻想的な佇まい、訪れる時間帯によっても様相を変える。

 今春もまた、庭園全体が多彩な桜花で満たされ、見る者をやさしく包み込むだろう。

山本典義=写真

◉名勝指定 昭和42年(1967)5月10日
☎0265-83-2736
長野県駒ヶ根市赤穂29
[拝]9:00~16:00(境内参拝は無料、庭園拝観は有料)
*今年のライトアップ期間はお問い合わせください。
http://www.kozenji.or.jp/
光前寺には、参道の石垣の隙間や、本坊客殿の縁の下の一部に古くから光苔が自生し、日の光を反射して神秘的に輝く姿を観察できる。4月中旬~10月下旬が見ごろ。しだれ桜の開花時期(4月初旬~中旬)と重なれば、光苔の鑑賞も併せて楽しみたい。

出典:ひととき2019年3月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。



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