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一度は見たい!孤高の一本桜

空の青や山の緑に映えてひとり気高く咲く一本の桜。その凛とした佇まいは、にぎやかな桜並木とは異なる独特の魅力があります。切畑利章さんが全国を旅して撮った一本桜の世界へ――。(ひととき2021年4月号より)

浅井の一本桜(福岡県久留米市)

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樹齢100年以上といわれ、地元の人に長年愛されているヤマザクラ。1991年(平成3年)の台風によって幹が折れ、枝先が枯れるなど被害を受けたが、回復作業により再び元気な花を咲かせるようになった。「ため池の淵に咲く一本桜です。池は一周できて、対岸に立つと水面の“逆さ桜”が楽しめます。散った花びらが水面に浮かぶ花筏〈はないかだ〉も可憐です。素朴な佇まいは、これぞ一本桜といえる魅力にあふれています」
*以降、コメントは切畑さんのものです

久留米市観光案内所 ☎0942-33-4422
福岡県久留米市山本町耳納1511-1

中崎のクマノザクラ(和歌山県古座川町)

2104_特別企画D12

2018年、およそ100年ぶりの新種の野生種と確認された。和歌山県の古座川町〈こざがわまち〉では町内各所で、このクマノザクラが観賞できる。「このあたりでは昔から知られた桜でしたが、新種とわかるまで『早咲きの桜』と認識されていました。クマノザクラは枝ぶりが繊細で、若木の頃から比較的美しい花をつけ、花弁は淡いピンク色、という点が大きな特徴です」

古座川町観光協会 ☎0735-70-1275
和歌山県東牟婁郡古座川町

余呉湖の桜(滋賀県長浜市余呉町)

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穏やかな湖面から「鏡湖〈きょうこ〉」とも呼ばれる余呉湖。湖の周囲にさまざまな種類の桜が咲き、カメラマンや観光客でにぎわう。なかでも導水路沿いで余呉湖に最も近い場所に立つ一本桜が見ものだ。「桜と菜の花の組み合わせが心地よく、穏やかな春を感じられる景観です。桜自体の姿形も見事ですが、背景の湖や山並みと相まって、とてもフォトジェニックだと思います」 

長浜観光協会 ☎0749-65-6521
滋賀県長浜市余呉町

写真・監修=切畑利章

切畑利章(きりはた としあき)
写真家。和歌山県生まれ。人物写真家、料理写真家のアシスタントを経て27歳でフリーになる。コマーシャルフォト、雑誌、PR誌を中心に活動するかたわら、40年以上にわたり桜を撮影。毎春、桜を求めて全国を旅する。写真集に『桜狩』(新宿書房)など。

――時に信仰の対象にもなり守られてきた日本各地の一本桜。その姿を長年にわたり撮り続けてこられた切畑さんの作品が、「ひととき」の2021年4月号では一挙11点お楽しみいただけます!(ほんのひととき編集チーム)

本誌でご覧いただける一本桜(全11点)

◉余呉湖の桜(滋賀県長浜市余呉町)
◉大坪の一本桜(宮崎県東諸県郡国富町)
◉一乗谷朝倉氏の遺跡の桜(福井県福井市)
◉西光寺の城之山桜(奈良県宇陀市)
◉三隅大平桜(島根県浜田市)
◉浅井の一本桜(福岡県久留米市)
◉わに塚のサクラ(山梨県韮崎市神山町)
◉旧大野分校の一本桜(静岡県浜松市)
◉常照皇寺の左近桜(京都市右京区)
◉田ノ頭郷のしだれ桜(長崎県波佐見町)
◉中崎のクマノザクラ(和歌山県古座川町)

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