見出し画像

【仙巌園】桜島に錦江湾…薩摩の宝を取り入れた大名庭園(鹿児島県鹿児島市)

「名勝」とは、日本における文化財の種類の一つ。本連載では国指定名勝の庭園、峡谷、海浜、瀑布などを、臨場感あふれる撮りおろし写真で紹介します。旅に出たような気分で、日本の美しい景勝地の数々をお楽しみください。(ひととき 2021年2月号「名勝アルバム」より)

 仙巌園(せんがんえん)に来るのはこの日で2度目だ。それなのに、雄大にそびえる桜島と青く煌めく錦江湾(きんこうわん)を借景としたこの庭園は、初めて来た時と同じような感動を与えてくれる――。

2102_名勝D01**
 島津家の別邸として1658年(万治元年)に築かれた当園。歴代当主が暮らした豪華な御殿や広い庭から見る景色は、他に類を見ない壮大さで、この眺めが何よりの贅沢だ。あまりのスケールの大きさに、気持ちまでおおらかになってくる。

 ふと目をやると、メジロが綻びはじめた梅の花の蜜を吸いに来ていた。

「1万5000坪の庭園に約110本の梅が植えられています。今の時季は寒緋桜(かんひざくら)も咲いて、梅と桜の競演も楽しめますよ」と広報の鶴園なつみさん。

 隣接する敷地には薩摩切子のギャラリーショップや、島津家の歴史を紹介する尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)もあり、じっくり見れば1日がかり。小休止しながら、のどやかに春を楽しむとしよう。

写真=荒井孝治

【ひととき編集部よりお知らせ】
2021年2月現在、仙巌園は新型コロナウイルス感染拡大を受け、2月7日まで休業しています。じつは今回の名勝アルバムは、ちょうど1年前の2020年2月初旬に撮影したものです。その頃はまさか、感染症の蔓延によって世の中がこんなにも激変するとは露程も思わず……。残念ながら、今年は仙巌園で梅が香を楽しむことはできないかもしれません。しかし、せめてオンラインでこの素晴らしい風景を楽しんでいただければと思い、ご紹介しました。
またいつか自由に旅ができる日が訪れたなら、ぜひ皆さんも仙巌園で春の訪れを感じてみてください!

2102名勝メジロ2

本文中に出てくるメジロです。甘い蜜を求めて次から次へと花に飛び移っていました
◉名勝指定 1958年(昭和33年)5月15日
鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1 
☎ 099-247-1551
(営) 9時~17時
(料金)大人・高校生以上1000円
(庭園・尚古集成館共通券)
※御殿観覧は別途料金が必要
(休) 3月第1日曜
島津家19代光久が造営。海外と繋がる「南の玄関口」だった薩摩らしく園内随所に中国・琉球文化の影響が見られる。梅は1月下旬から2月中旬が見頃。

※新型コロナウイルス感染拡大を受け、2021年2月7日(日)まで休業中。再開のお知らせはホームページをご確認ください。
https://www.senganen.jp/

出典:ひととき2021年2月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。




よろしければサポートをお願いします。今後のコンテンツ作りに使わせていただきます。