港町の飾らぬ人々が織りなすひととき(仙崎・JR山陰本線)|終着駅に行ってきました#11
「おいしかったです」
中学生のその言葉に、それまで仏頂面しか見せなかった居酒屋の大将が、なんとも嬉しそうな笑顔をこぼした。隣で女将が、またおいで、と語りかけて、夜更けの長門市駅前の居酒屋が、やさしい空気に包まれた。
今回の旅は、中学を卒業したばかりのわが息子を連れてきた。終着駅の旅で、仙崎に行くことが決まり、軽い気持ちで「君も行くか?」と尋ねたら、「行きたい」と返してきたのである。
「誘っといてなんだけど、意外だな」
「一度、ミハラさんにも会いたいしさ」
「仕事