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終着駅に行ってきました

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終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れで… もっと読む
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2022年6月の記事一覧

港町の飾らぬ人々が織りなすひととき(仙崎・JR山陰本線)|終着駅に行ってきました#11

「おいしかったです」  中学生のその言葉に、それまで仏頂面しか見せなかった居酒屋の大将が、なんとも嬉しそうな笑顔をこぼした。隣で女将が、またおいで、と語りかけて、夜更けの長門市駅前の居酒屋が、やさしい空気に包まれた。  今回の旅は、中学を卒業したばかりのわが息子を連れてきた。終着駅の旅で、仙崎に行くことが決まり、軽い気持ちで「君も行くか?」と尋ねたら、「行きたい」と返してきたのである。 「誘っといてなんだけど、意外だな」 「一度、ミハラさんにも会いたいしさ」 「仕事