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終着駅に行ってきました

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終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れで… もっと読む
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2021年4月の記事一覧

うず潮の街でつむがれる半生記(鳴門・鳴門線)|終着駅に行ってきました#8

かつては日本を代表する塩の生産地として隆盛を極めた、鳴門。その街にある小さな終着駅には、今も昔も人々を乗せた列車が発着しています。多くのお遍路さんたちも歩いたという、撫養(むや)街道。その一隅にたたずむ小料理屋で、夜は、温かくしっぽりと更けていきます。(連載:終着駅に行ってきました) 文=服部夏生 写真=三原久明 「終着駅は始発駅って言いますものね」  居酒屋のカウンターの内側で、ぼくたちがこの街に来た理由を聞いた女将は、しみじみと言ってうなずいた。北島三郎が歌った名曲の